エンジンの中は超高温! 1000度を超える温度の計り方とは!?【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】

どうやってエンジンの体温を計っているのか

タービン入り口温度の管理が大事

ジェット・エンジンの中で最も過酷な場所は、高圧タービンの最初の羽根です。

高温にさらされるだけでなく、高速回転しなければならない過酷な場所です。タービンに吹きかかる温度によっては、エンジンの寿命に大きな影響を与えるだけでなく、タービンの羽がクリープと呼ばれる、時間とともにひずみが増大する現象が発生したりします。

そのためタービンへの入り口温度を計りたいところですが、 摂氏1300度以上の高温に長い間耐えられる温度計はありません。もし温度計が壊れた場合は、その破片がほんの少しでも10000rpmの高速で回転しているタービンに紛れ込んだら、一種のうちにエンジンは壊れてしまいます。

そこで、タービン入り口温度ではなく、エンジンの排気ガス温度や、タービン入り口に近いが、せいぜい高速タービン出口の温度を計っているエンジンがほとんどです。

問題は、どうやって温度を測定するかです。温度といえば、水銀を利用した体温計を浮かべますが、結果が出るまで3分間待たなければならないのでは役に立ちません。範囲も600℃程度です。敏感に反応して、1000℃以上計ることができるセンサーが必要です。

その条件にぴったりなのが熱電対(サーモカップル)と呼ばれる、異なった金属のカップルです。例えば白金と白金ロジウム合金などを熱した場合に発生する、起電力を利用したものです。熱に敏感に反応するだけではなく、熱の変化に直線的に比例することから、ほとんどのジェット・エンジンに採用されている方式です。

高圧タービンと低圧タービンの間の温度をEGT(Exhaust Gas Temperature:排気ガス温度)と呼んでいます

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治

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