歯周病菌が血管内で血流を阻害する【図解 血管・血液の話】
歯周病菌が動脈硬化の原因に
歯周病というのは、歯と歯茎の間に繁殖する細菌に感染し、歯の周りに炎症を引き起こし、歯を支える骨を溶かしてしまう病気のこと。近年の研究では、歯周病のもとである歯周病菌が歯茎から血管に侵入することで、あらゆる病を引き起こすことがわかってきました。そのために、歯周病の早期発見と予防を兼ねて、年1回の歯科検診を義務づける「国民皆歯科検診」が国で検討されています。
歯周病菌は歯茎の隙間である歯周ポケットに潜み、そこにできた小さな傷から歯肉の血管へと入り込みます。そして血流にのって毒素を放ちながら全身を巡り、体のあちこちで炎症を引き起こすのです。血管にも慢性的に炎症が起き、炎症で傷ついた血管の内壁へLDLコレステロールが侵入します。LDLコレステロールは活性酸素や毒素によって酸化し、さらに悪玉化。それを処理するために食べた白血球のマクロファージが内壁の内側で死骸となり、粥状の塊ができます。これが原因で血管の壁が徐々に分厚くなり、動脈硬化を引き起こすのです。
また、歯周病菌が放出する炎症物質は血糖値を下げるインスリンの働きを阻害するため、高血糖も誘発します。高血糖のネバネバタイプの血液がさらに悪化し、糖尿病になるリスクもぐんと上がることになるのです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 血管・血液の話』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 血管・血液の話』
著者:栗原 毅 栗原丈徳
著者プロフィール
栗原 毅:1951年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。前東京女子医科大学教授、前慶応義塾大学特任教授。現在は栗原クリニック東京・日本橋院長を務める。日本肝臓学会専門医。治療だけでなく予防にも力を入れている。血液サラサラの提唱者のひとり。
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日々の乱れた食生活や運動不足、肥満などをはじめ、さまざまな原因でドロドロになってしまう血液。「なんとなくダルい」「寝ても疲れが取れない」「むくみや冷えにずっと悩んでいる」などを感じている人は、血液の状態が悪くなっている可能性も。そのままの状態にしておくと動脈硬化になり脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めたり、血流が悪くなることで認知症などにも影響を及ぼすと言われています。人生100年時代と言われる昨今、大病せずに健康寿命を全うするためには、血液をサラサラに保っておくことが中高年以降は必須です。本書では肝臓専門医で『血液』の専門家でもある著者による、血管と強くして血液をサラサラに保つ簡単な方法をこれだけやっておけば大丈夫、という厳選したメソッドで紹介します。『血液をきれいにする歯磨き』『酢トマトを食べる』など誰でも簡単にできて効果絶大なものばかり。血圧、中性脂肪などが高い方をはじめ、いつまでも病気知らずで若々しくいたい方など、あらゆる人に読んでいただきたい一冊です。
公開日:2024.09.08