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若林眞弓さん(後編)|脱・三日坊主!忙しいおとな世代が絵日記を続けるコツとは?

「日々の暮らしを描いて楽しむ」絵日記の描き方を、おとな世代に人気の塗り絵・イラスト教室を主宰する若林眞弓さんが1冊にまとめた書籍『センスも時間もいらない おとなの絵日記レッスン』(日本文芸社)。前編では、初心者でも絵を描けるようになる方法や、おすすめの画材などをご紹介しました。後編では「三日坊主にならずに絵日記を続けるコツ」や、一歩進んだ「絵になる」描き方、絵日記以外にも日常の中で絵を楽しむ方法などをご紹介します。

 
画像提供:若林眞弓 取材・文:齊藤万里子 撮影:天野憲仁(日本文芸社)


 

絵日記を描く時間の作り方

いざ絵日記を始めてみようと思っても、毎日忙しくて続けられるか不安……という方も多いことでしょう。若林さんは、とくに描く時間を決めてはいないと言います。普段どのように絵日記を描いているのでしょうか。

「色を塗るのは後ででもいいのですが、線画を描くのは、記憶や感情が新鮮なうちがいいので、描きたいものがあったらなるべくその場でペンで線を描くようにしています。その場で描けない場合は、写真を撮っておき、帰宅後早めに線画だけは描いてしまいます」

色塗りは、隙間時間に少しずつ進めているそう。お昼休み、コーヒーを飲みながらなど。

「どうしても描きたいものがあるときは、今日の〇時から1時間描く!などと決めて、それに合わせて仕事をします」

「1時間だけ」など時間を区切って集中して絵を描く時間を作る方法は、取り入れやすいのではないでしょうか。とはいえ、その1時間すら時間が取れないときや、描きたいものがない日もあることでしょう。そんなときは「無理せず休んで」と若林さん。

「ときどき休むのも、楽しく続けるコツです。時間をかけずに描ける『1コマ絵日記』もおすすめです」

忙しい人のために若林さんが考案した「1コマ絵日記」は、1日1コマ、一つの絵に一つのコメントのみのシンプル構成。ボールペン1色で描き、色も塗りません。「忙しかった」の一言のみの日も。

若林さんの「1コマ絵日記」。ノートの見開きにびっしりイラストが埋まると圧巻。

「1個1個の絵は大したことなくても、集まると見ごたえがあるんです。私は枠線を描いていますが、マンスリー手帳を使えば枠線を描く必要もありません。とにかく埋める!という気持ちで描いていってほしいです。1か月分埋まると達成感がありますよ」

色をつけずにペンで描くだけでも楽しい。1コマ3cm角くらいの手帳のマンスリーページに描くのもおすすめ。

脱・初心者!「絵になる」イラストを描くコツ

絵日記を描くことに慣れてきたら、構図についても意識したいもの。『センスも時間もいらない おとなの絵日記レッスン』には、レイアウトのパターンも掲載されていますが、複数のモチーフを1ページに配置する場合、「余白の形」を意識するとよいそうです。

「余白のバランスって、結構難しいんですよね。初心者の方は、画面いっぱい埋めることを意識する方がいいと思います。そして余白が整然としていないほうがいい。図鑑風にきれいに整列させて描くときは別ですが、そうじゃなかったら、余白が全部四角とかにならないように。ぐちゃぐちゃっとした形になる方がいいです」

同じ向きに配置せず、いろいろな向きに描くことで動きが出て、楽しい画面に。小さな花を余白に散らすといった工夫も生きている。

また、写真を見て絵を描く場合、実物を目で見たときとは少し違う形に写っている場合もあるので注意が必要だそう。

「レンズが丸いので、中心はきれいに写るけれど端の方、遠近がおかしかったりすることがあります。例えばこの写真ではパスタのお皿の角がとがって見えるけれど、実物はここまでとがっていなかったので、絵にするときはとがらせていません」


写真(上)と、それをもとに描いた絵(下の中段右)。

「それと人間は頭の中で補正をかけるんです。例えば丸い時計が壁にかかっているとして、斜めから見たら楕円に見えるんですけど、『時計は丸い』という知識があるので、丸に描きたくなるんですよ」

そのため後で写真を見て描く場合でも、撮ることに集中しすぎず、必ず「自分の目で見ておく」ことが大切。目で見えているものを忠実に描くことが、違和感のない絵を描くコツとのこと。「なんだか不自然な絵になってしまう」といったときは、思い込みのフィルターがかかっていないか、目で見えているものに忠実に描けているかどうかを確認してみましょう。

画材や文房具のお話をはじめると話が止まりません(笑)

絵日記以外にも!絵を楽しむアイディア

「日常で絵を楽しむ方法はいろいろあります」と、若林さん。

「絵を描くことに慣れたら、いろんな楽しみ方をしてみてほしいです。季節に合わせて、例えば春ならお雛さまの絵を描いて飾ろうかとか。冷蔵庫にマグネットで留めるのでもいいし、額に入れて飾ってみてもいいですね。私は旅行に行くときに画材とはがきサイズの用紙、切手を持参して、宿で絵を描いて自分宛に送ったりもしています。友人と食事をした思い出を描いた絵日記は、印刷して後からお礼状として贈ったら喜ばれましたよ」

印刷してお礼状として渡したポストカードとトラベラーズノートに描いた元絵。

旅行のときなどに若林さんが持ち歩く画材セット。『センスも時間もいらない おとなの絵日記レッスン』29ページのイラストそのまま。ビニール素材のメッシュケースに入れて携帯している。右下のオレンジ色のケースからのぞくかわいらしいカードは若林さんのオリジナル名刺。

いつも携帯しているポストカードと切手が入ったフォルダ。お気に入りの作品を額に入れて飾れば、すてきなインテリアに。

「トラベラーズノートの『Accordion Fold Paper』というジャバラ状のリフィルは、パスポートサイズで1冊分すぐに完成しますし、そのまま飾ることができて楽しいです。お気に入りの絵日記の絵を印刷して、色画用紙の上に貼りつけて飾ったりしてもいいですね。私は絵をコピーして手帳のカバーを作ったりもしています。楽しみ方は無限大です!」

ジャバラ状のトラベラーズノートは、飾って楽しめるのがメリット。

「描きたいものが多すぎて、人生が追いつかない」と語る若林さんは、バイタリティーにあふれていました。忙しさに流されて忘れられていく日常を、特別な1ページに。『センスも時間もいらない おとなの絵日記レッスン』を参考に、「絵日記のある生活」を楽しんでみませんか?

色鉛筆本のぬりかた指導も多く手掛けている若林さん。

【書誌情報】
書名:センスも時間もいらない おとなの絵日記レッスン
著者:若林眞弓

 

【著者紹介】
若林眞弓

イラストレーター、カラーリスト。
島根県生まれ。会社員時代、ストレス解消の手段として色鉛筆に出会い、独学で描き始める。ネットを通じて届く「私も描いてみたい」という声に応えて、2009 年からオリジナルの図柄と塗り方レシピを使った色鉛筆塗り絵の教室を開講。現在は、生活を自分の作品で彩る楽しさを知ってほしいと、島根、東京、大阪、オンラインで塗り絵とイラスト教室を実施している。著書に『ぬりえ彩色レッスン帖』(コスミック出版)、『塗り絵でまなぶ色鉛筆画のきほん 12 色だけで花もお菓子もこんなに描ける』(ホビージャパン)などがある。
ブログ:https://www.belta.jp/art/
Instagram:https://www.instagram.com/bluebelta/

【取材・文】
齊藤万里子
フリーランスライター・編集者。編集プロダクション、出版社勤務を経て独立。元ペット誌編集長の経験を生かし、生きものジャンル中心に活動中。夫と息子とうさぎと暮らす。趣味はライブに行くこと。

若林眞弓さん(前編)|初心者でも描ける!続けられる!今こそ楽しみたい「おとなの絵日記」

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