昼のあいさつは「こんにちは」ではない
あいさつがきちんとできることは、とりあえず社会人としての基本です。朝、出社して顔を
合わせた人には笑顔で明るくはきはきと「おはようございます」の声をかけていますか?午前中に他社を訪ねた際にも、来意を告げる前に「おはようございます」のひとことがあるかないかで、相手の印象は大きく違ったものになります。
ちょっと悩んでしまいそうなのが、午後のあいさつです。芸能界や放送業界では、午後だろうと夜だろうと顔を合わせたときは「おはようございます」とあいさつするのが常識になっているようですが、一般のビジネスの世界ではこれは通用しません。
「午後は、やっぱり、こんにちはだろう」
たしかに、午後のあいさつは「こんにちは」ですが、ビジネスの場ではどうでしょうか。例えば、社内で同僚に対してなら「こんにちは」で問題はありません。
しかし、相手が部長や常務といった上司の場合は、このあいさつでは軽すぎる気がしませんか?
ビジネスの場は、ある意味でタテ社会ですから規律が要求されます。
「お疲れ様です」
午後から夜のあいさつは、これがもっとも自然で適切でしょう。夜だからといって「こんばんは」は、いただけません。
一方、社外ではどうでしょうか。訪問先の受付でまず「お疲れ様です」とあいさつするのは、ちょっと場違いな感じがします。
「お世話になっております」
こちらのほうがはるかに自然です。このようにあいさつには午前中と午後の使い分け、自社と他社の使い分けがはっきりとあります。
正しくその使い分けができるかどうかは、ビジネスパーソンとしての自覚があるかないかに直結します。「あいさつ(挨拶) 」という言葉のルーツは禅の「一挨一拶」にあります。 「一挨一拶」とは禅宗の僧が悟りの深さを試すために行なう問答のこと。禅宗では重要な修行の1つです。それが民間に広がり、人と出会ったときに取り交わす言葉や動作、対応などを指すようになり、略されて「あいさつ」というようになったのです。
そんな由緒を知ると、やっぱり、おろそかにはできませんね。
ビジネス上のあいさつで「こんにちは」は NG。
上司:お疲れ様です
取引先:お世話様です
【出典】『頭がいい人の敬語の使い方』著:本郷陽二
【書籍情報】
『頭がいい人の敬語の使い方』
著:本郷陽二
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公開日:2024.08.21