日本人女子3人目のメジャー制覇
日本とフィリピンの国籍を持つ笹生優花が、6月6日(日本時間7日)全米女子オープン選手権を史上最年少の「19歳351日」で制した。
日本女子選手のメジャー制覇は77年全米女子プロ選手権の樋口久子、19年AIG全英女子オープンの渋野日向子に続いて3人目である。
最終日、2番、3番ホールで連続してダブルボギーをたたき、5番では首位を走るレキシー・トンプソン(米国)に6打差をつけられた時には「これで終わったか……」と思ったが、ここから粘った。
キャディーのライオネル・マテチェックから「まだホールはたくさん残っている。ここからだ」と励まされ、気を取り直したという。なるほど、ゴルフはメンタルのスポーツである。
勝負のサンデーバックナイン。笹生はパー5の16番、17番で連続バーディー。18番でもパーをセーブし、畑岡奈紗とのプレーオフに持ち込んだ。
サドンデスの3ホール目、ウィニングパットを決めたのは3歳下の笹生だった。
それにしても、よく飛ぶ。惚れ惚れするような弾道だ。
笹生のドライバーの平均飛距離は262ヤード。もちろん日本ツアーに参加する女子選手の中ではナンバーワンだ。ドライバーのフォームは、PGAツアーで3度の賞金王(2012、14、19)に輝いているローリー・マキロイ(北アイルランド)そっくりだ。
それもそのはず、笹生にとってマキロイは少女時代から憧れの的で、動画を見ながらスイングをコピーしていたという。
笹生のスイングの特徴を、東京五輪日本代表女子コーチの服部道子は、こう解説する。
<彼女のスイングはパワーがあって柔らかく、再現性が高いのが特徴です。ダウンスイングでしっかりタメをつくっているので、大きな力をボールに伝えることができます。(中略)またインパクト直前まで腰がボールに正対する形になっているのでスイングの再現性が高く、方向性も安定しています。クラブを高い位置から振り下ろしてくるので、深いラフからでもチャンスにつけることができる>(スポニチ紙6月8日付け)
少女時代、父・正和が課した猛特訓は、まるで劇画「巨人の星」である。
スクワットは1日1200回。ランニングは両足250グラムの重り付き。サンドバッグにパンチを打ち込むボクシング流トレーニングまで取り入れた。強靭な下半身はこうした猛特訓の賜物なのだ。
スポ根型ヒロイン。令和のスターながら、どこか昭和の匂いがするのは、そのせいか。
初出=週刊漫画ゴラク2021年6月25日発売号