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来日1年目でシーズン安打記録を樹立した阪神が誇る安打製造器!マット・マートン

Text:橋本雅生

助っ人外国人列伝/阪神打者編

日本球界を彩ってきた助っ人外国人選手たち。「ラブすぽ」が独自に選んだ投打の名選手各5名と、印象深い選手を投打から各1名紹介する。

来日1年目でシーズン安打記録を樹立!マット・マートン

【打者2位】マット・マートン

〈NPB通算データベース〉
・打率 310
・本塁打 77本
・打点 417打点

メジャーでも活躍していた安打製造器

阪神における歴代助っ人打者のナンバー1と言えば、ランディ・バース。この選出に異論の余地がないが、個性溢れる好打者が多い阪神だけに、第2位となるとなかなか難しい。

ラブすぽ編集部内でも多くの名が上がったが、第2位となったのがNPBの右打者のおけるシーズン安打記録を現在でも保持しているマット・マートンだ。

ジョージア工科大学で活躍していたマートンは、2003年のMLBドラフト1位という高い評価を受けてレッドソックスに入団。チーム事情によるトレードで移籍したカブスでメジャーデビューを果たすと、コンパクトなスイングから右へ左へ打ち分ける広角打法を披露して打率・321の高成績を残す。

2006年は完全にレギュラーの座を獲得してさらなる飛躍が期待されていた。だが、外野の守備がかぶる元・広島のアルフォンソ・ソリアーノが移籍したことで出場機会が激減してしまうのだ。

そのためマートンは他球団に移籍するも、課題とされていた守備力の影響もあって出場機会が減り、日本に活路を見いだすべく阪神に入団する。

来日1年目でシーズン安打記録を樹立

阪神でのマートンは、赤星憲広が引退して穴が開いた1番・中堅候補とされていたが、守備への不安が指摘され、当時の評価は高いものではなかったという。

しかし、マートンは首脳陣の期待を良い意味で裏切り、体のぶれが少ないコンパクトなスイングが冴え渡ってペナント開幕からヒットを量産する。

2010年の前半戦は15試合連続安打を記録し、コンスタントにマルチ安打と猛打賞を重ねるマートンは虎ファンから絶大な支持を集め、阪神の1年目外国人助っ人としては50年ぶりのオールスターにも出場した。

ペナント後半も勢いが止まらないマートンは、9月に藤村富美男のシーズン安打記録をあっさり更新すると、NPB史上初となる1年目での200安打の快挙を成し遂げた。最終的に打率・341、17本塁打、91打点と高成績をマークし、実に214本の安打を放っている。
 

なお、マートンは右打者が苦手とする左投手を得意とし、追い込まれてからの場面のほうが打率が高い。守備ではフライを見失ったりする凡ミスもあったが、チャンスにも強い打撃力でその欠点を補って余りあるプレーを見せている。

だが、2〜3年目のシーズンは、長打力を上げるための打撃改造が裏目となり、不振に悩まされるあまり精神状態が安定せず、成績を落としてしまう。

外国人助っ人は初年度に活躍しても、2年目から成績を落として退団するケースが多いが、マートンは4年目に復活を遂げる。

スランプを乗り越えて6年間活躍

非常の真面目で大の努力家でもあったマートンは、苦手とする投手の研究はもちろん、対戦した相手投手や審判ごとのストライクゾーンの特徴をノートに記したという。

また、打撃練習では納得がいくまで居残りで打ち込みを続けると、2014年は引退した金本知憲の後釜として4番に定着。主砲としてキャリアハイの19本塁打を放ち、球団新記録となる4試合連続で猛打賞を記録するなど、打線の主軸として確かな存在感を見せた。

こうして虎の頼れる助っ人として活躍したマートンは、退団する2015年までに首位打者1回、最多安打3回などタイトルを獲得。引退後は2019年までカブスのベースボール・オペレーション補佐を務め、現在は地元テネシーで高校生に野球指導をしながら悠々自適な生活を送っている。

2023年7月に家族を伴って来日して首位を快走する古巣を訪問し、日本シリーズ中もSNSで激励するなど、阪神との交流は今も続いている。

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