自主トレから帰国早々、日焼けした田口麗斗選手の登場に、会場大興奮!
いよいよキャンプイン1週間前となった1月24日に、東京ヤクルトスワローズの田口麗斗投手が『ラブすぽ』に初参戦してくださいました。
プロ野球の現役選手やOBの方をゲストにお招きして行っているリアルトークイベント『ラブすぽ』。明るい性格で、普段は人懐っこい笑顔が印象的な田口投手。投げる時の真剣な姿とのギャップ萌えで、今や移籍先のスワローズでも大人気の現役選手の参戦ということで、古巣のジャイアンツファンや、カラフルな田口ユニフォームを身に纏ったスワローズファン130人のお客様が駆けつけてくれました。この日は『ラブすぽ』では珍しい金曜日開催ということで始まる前から何となく皆さん、週末のリラックスムードが漂っていました。
『ラブすぽ』のMCはDJケチャップさん。プロ野球界に顔が広いケチャップさんも田口麗斗投手とは初めて喋るということもあって、どんな2時間になるのか楽しみです。
19時ちょうどにプレイボール! ケチャップさんに呼ばれ、金髪にサングラス、しかもかなり日焼けした肌にバニラのいい香りを漂わせて登場した田口投手。「ハワイ帰りの田口です。暗闇では歯しか見えないと言われます。今日はNGナシで頑張ります!」といきなり大胆に宣言してくれました。
まずは『ラブすぽ』恒例の1ショット写真撮影から。ファンの皆さんの間を練り歩き、写真が撮りやすいように田口投手が近くを通り過ぎます。この日は約8割の方が『ラブすぽ』初参加ということもあってか、この練り歩きタイムにファンの皆さんは冒頭から笑顔全開、シャッター音鳴りっぱなし。これには田口投手も「普段球場ではネット越しで、少し距離があるので恥ずかしいっすね」と少し照れていました。
田口投手、ハワイには自主トレで行かれていて1月21日に帰国したばかりだそうです。なんと今回は昨年末の12月21日から行かれていたとのこと。昨年に比べ自主トレの開始時期を早めた理由を聞かれると「2024シーズンの田口はしょうもなかったので、今回はたくさん練習したいと思って」とのこと。チームの後輩、丸山翔大投手と石原勇輝投手とともに行ってきたそうですが、仕上がり具合について尋ねると「シーズン中よりいい状態っすね」と丸山投手から言われるくらいだそうです。気持ち的には2月1日のキャンプイン初日からブルペンに入れる状態は作っておきたいとしながらも、焦らずじっくり臨みたいとのことでした。
2021年3月1日、青天の霹靂だったトレード
さて、いよいよ話は『ラブすぽ』ならではの深いところへ。
ジャイアンツで7年、スワローズに来て今年で5年目を迎える田口投手。あの緊急トレードの話を、当日の会場限定で披露してくださいました。2021年3月1日、キャンプは二軍で過ごした田口投手、この日はオフで家で寛いでいた時に、二軍のチームマネージャーから突然の電話があったそうです。時期も時期でしたので、最初連絡が来た時には「一軍に呼ばれたのかな? キャンプでは一度も一軍に上がっていないのになぁ」と思ったそうです。すると「事務所にスーツを着て来て欲しい」と言われ、そこでトレードと直感が働いたそうです。
スワローズには同じ年でジャイアンツ時代のチームメイトだった奥村選手の存在や、ジャイアンツ時代から面識のあった、同じサウスポー、同じような体つきで活躍を続ける石川雅規投手の存在もあって、すんなりとチームに溶け込めたそうです。
ちなみにトレード前の2019年、2020年はジャイアンツでリーグ優勝を経験。 そしてスワローズ移籍元年の2021年にリーグ優勝と日本一を。翌2022年もリーグ優勝を飾るなど、実は4年連続リーグ優勝を経験した優勝請負人として「俺のお陰…かな」と少し思っていたと、冗談っぽく笑っていました(笑)
ジャイアンツ原辰徳監督を胴上げする夢を実現!
元々広島出身の田口投手。広島新庄高校時代はエースとして甲子園出場を賭けた県予選、山岡泰輔投手(現オリックスバファローズ)の瀬戸内高校と延長15回0-0-の引き分け。翌日の再試合でも1失点ながら敗戦投手となった伝説の決勝戦は、ファンの間でも有名な話。てっきり広島カープのファンと思っていましたが、実は幼少の頃からジャイアンツファンで、特に原辰徳さんの大ファンだったそうです。
小学校で絵作文の課題が出されたときは『ジャイアンツの一員として原監督を胴上げする』という絵を描いたそうですが、この後が田口流。その後、原監督を自宅に招き、自身が手作りの焼そばを振る舞うというところまで描いていたそうです。その後、2013年のドラフト会議で原監督のジャイアンツからドラフト3位指名を受け入団、2019年、20年とリーグ優勝で原監督を胴上げする夢を実現させましたが、自宅で原監督に焼そばを振る舞うという夢は実らなかったそうです。これに対しケチャップさん、間髪入れずに「でしょうね!」(一同爆笑)
トレードでジャイアンツを去ることになった際の心境を聞かれると、2018年辺りから自身のパフォーマンスに対してもどかしいという気持ちが徐々に芽生えて来たこともあって「環境が変われば、まだやれる」と思っていたので、そこはポジティブに考えられたそうです。そのもどかしさの理由についても語ってくれましたが、身体を大きくしたことが自分に合っていなかったと。やっぱり選手にはそれぞれ合った体つきやトレーニング方法があって、そこを考えるようになってパフォーマンスが向上したそうです。
役割が先発から中継ぎへ、全てはジャイアンツ時代からの積み重ね
ジャイアンツ時代は期待をされて、早い段階で先発投手として実績を作ってきた田口投手ですが、スワローズ移籍後は一転中継ぎへ。このことについては、「新しい自分を見つけることができた。これまでの人生の中でも今までで一番フィットするポジションを見つけることができた感覚だった」と話してくれた田口投手。周囲からも「ジャイアンツを出てよかったね」とか「スワローズが合っているよ」とか言われることが多いそうですが、それはあくまでジャイアンツ時代に過ごした7年間というベースがあってこそという思いは常に忘れていないので、そこは皆さんに知っていただきたいと言っていました。先発ではシーズン25~26試合の登板ですが、今は中継ぎに転向して全試合投げるチャンスがあるので、毎試合一喜一憂できるのが楽しいと話す田口投手。身体の使い方や疲労蓄積についてもケアもしているし、それよりも楽しさの方が勝っているということで、毎日の充実ぶりが伺えました。
田口流ボールの握り方と投げ方
田口投手の持ち球はストレートと、スライダーは縦横の2種類。ストレートは握りよりも最後球離れする時の指先の切り方を重視しているようで、握りはそこまで意識していないそうです。一方変化球は指先よりも腹(表現が難しいですが掌?)に、よりフォーカスしているようです。これはあまり手が大きくないというところからの発想もあるようですね。フォークも持ち球としてはあるようですが、シーズン中あまりサインは出してもらえないそうです。「もっと信用してくれ」と笑いを誘っていましたが、数値化されたデータを見たら、一般的な投手よりも落差は大きいらしく、データ上は千賀投手に近い数値は出ているようなので、来シーズンその落ちるボールにも注目です。
ただやっぱり一番自信のあるボールはストレート。抑えで登板した時もストレートである程度押せたし、ファールも取れたし、そこは拘っていきたいと話してくれました。ケチャップさんから「ちょっと投球フォーム見せてよ」とのリクエストに対して、田口投手は「とにかくフォームはシンプルに」と壇上でフォームを見せてくれました。ケチャップさんから「フォーム、綺麗だよね」と言われると、「いろんなプロの投手のフォームを見てますが、僕のフォームが一番綺麗だと思いません? どうして皆さん、クセ強なの?」と笑いを誘っていましたが、目はマジでした(笑)。ちなみに神宮球場のブルペンで投球練習している時、左投げなのでセットポジションでスタンドの方が視界に入るそうです。この時スタンドのファンの皆さんが、こちらを見ている顔がたくさん見えて「とても焦る」とも言っていました(笑)。
FA権行使せず残留した理由と海外移籍について
もう一度先発したい気持ちを聞かれると、35歳を超えたらもう一度やりたいそうで、そこまではストレートに更に磨きをかけて155キロを目指しますと話した田口投手。一昨年FA権を取得しながらFA権を行使せずに残留した理由を聞かれて、「スワローズが良かったので」と語ると、会場からは大きな拍手が送られていました。海外挑戦についても突っ込まれていましたが、プレミアで侍ジャパンに選出された時以来、意識はしているそうです。給料が良いからという理由はまったくなく、今の自分にとってはまだまだかなり高いハードル。なので移籍というよりは常に挑戦したいという思いは持っているようです。なので「挑戦したいタイミングとチャンスが巡ってきたら、その時考えます」と、ここは結構マジモードで話を聞かせてくれました。
ここでサプライズゲスト登場! 一緒に自主トレした丸山翔大投手!
田口投手が期待する若手選手の話になり、ケチャップさんから「昨シーズン防御率が0点台だった丸山翔大投手とかどうですか?」との質問に田口投手は「あ、忘れてました!」ととぼける仕草。「丸山投手なんてどうですか? いいですよね?」とケチャップさんから今度はファンの皆さんへ問いかけると、突然のフリだったせいか、少し中途半端な拍手が返ってきました。一瞬凍り付く『ラブすぽ』スタッフ陣。実は田口投手、昨年に引き続きハワイ自主トレを一緒に行った丸山翔大投手を、どこかのタイミングで登場させようと会場に呼んでいたのです。
我々スタッフも直前に知らされて驚いたのですが、田口投手がステージに登場した後に会場の裏動線から控室に入っていただき、絶対にファンの皆さんに気付かれないようにしていたのです。そろそろ呼ばれそうというタイミングでスタンバイOKの丸山投手。会場に呼び込むきっかけをどうにかして作ろうとするケチャップさん。フリが不自然で、お客さんがきょとんとするなか、すごく照れた様子で丸山投手が登場すると、さすがにファンの皆さんは驚いた様子で、盛大な拍手と歓声があがりました!
昨年プロ初勝利を挙げた丸山投手。初勝利のお祝いと1年間お疲れさまということで、田口投手にハワイでジャケットを買ってもらったという丸山投手。ケチャップさんから「(そのジャケット)着てこいや!!」といじられておりました。ここからは丸山投手を加えて3人でトークが展開されます。丸山投手が「これまでは自主トレよりもキャンプが一番辛かったです。でも田口投手と自主トレを一緒にやるようになった昨年からは、とにかく自主トレがキツイ。キャンプより辛いので、キャンプは余裕をもって臨めるし、過ごせるようになりました」とのこと。なので、ついていくだけで精一杯のキャンプではなくなって、自分がやるべきことを出来るようになったことが、自分の成長につながっていると感じているそうです。
田口投手との2ショット撮影、そして質問コーナー
といったところで、2ショット撮影タイムの時間です。ファンの皆さんと田口投手が2ショット撮影をしている間、ケチャップさんと丸山投手の即席トークショーが開催されました。まだファンの方の前で、話し慣れていない丸山投手。たどたどしい話し方が初々しかったです。会場の小学生から「どうしたら速い球を投げられますか」と聞かれて、一生懸命考える丸山投手。難しい技術論を語り出した丸山投手に、ケチャップさんが「たくさんご飯を食べること」と耳打ちし、ハッと気づく丸山投手。最後はなぜか小学生とハグしておりました(笑)。
2ショット撮影も終わり、ここからは田口投手も交えての質問コーナーがはじまります。
・飛ばないボールと言われていましたが投手お二人の見解は?
・メンタルは強い方ですか? メンタル強化はどのようにしていますか?
・ピッチャー以外でやってみたかったポジションは?
・スワローズでこの人カッコイイと思う選手は?
・セ・リーグDH制導入についてお二人の見解は?
・ピッチクロック導入についてお二人の見解は?
・ベイスターズ対スワローズ戦はどうして試合時間が長いのか?
・何かルーティンはありますか?
・申告三振についてお二人の見解は?
・あのノーアウト満塁の場面で行くぞという時の気持ちと抑えた時の気持ちは?
・夏場のデーゲームはどんな感じなんですか?
・ウィニングボールの行方は?
・肩が痛かったり足が痛かったりしたときのケアやストレッチの方法は?
・獲りたいタイトルは?
などなど、いろんな質問が出ました。ちなみに丸山投手、このトークショーに参加するために散髪してきたそうで、細かな髪がたくさんついていたことをケチャップさんからいじられていました。
ケチャップさんが「チーム田口としてこのコンビで来年も『ラブすぽ』やろうやー」というと「この先10年やります!」と田口投手。ファンの皆さんからは大きな拍手が贈られていました。最後に「今年のスワローズ、後ろはもう決まっているの?」と尋ねると田口投手から「田口です!」と堂々の守護神立候補宣言! これには会場から今日イチの拍手が飛び出しました。
といったところで、ちょうど時刻は21時。「まだまだ話たいことがありますが、全部話してしまうと来年、再来年きつくなるので小出しにしていきます」とすでに来年を見据えた話も飛び出し、最後は皆さんとの集合写真を撮ってゲームセットとなりました。
写真・天野憲仁