いびきや日中の倦怠感でようやく気づくこともある
睡眠障害のなかでも、近年とくに増えているのが、21世紀の現代病ともいわれる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」です。眠っているあいだにしばしば呼吸が止まってしまう病気で、睡眠関連呼吸障害群に分類されます。
睡眠中は、気道や舌のまわりの筋肉が弛緩して脱力します。このとき、落ちこんだ舌が気道をふさぐようなことがあると、無呼吸になり苦しくなるのです。
さらに、無呼吸が起こるたびに足りない酸素をとりこもうとして覚醒をくり返し、慢性的な睡眠不足状態におちいります。
結果、日中の眠気が強まり、判断力や集中力が下がるなど、生活に影響をおよぼすのです。
睡眠時無呼吸症候群を長くわずらうと、高血圧や糖尿病など生活習慣病を併発し、悪化すると脳卒中や心筋梗塞など命にかかわる病気の発症リスクも高くなります。治療せずにいると、およそ8年間で約4割の人が死亡するという衝撃的なデータもあるほどです。
この病気の人は、大きないびきをかくことが多く、家族など一緒に寝ている人から指摘されて気づくことが少なくありません。
自分では気づきにくいので、日中の眠気や倦怠感など気になる症状がある場合には、医師の診断を仰ぐことをおすすめします。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 睡眠の話』 監修:西野精治
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 睡眠の話』
監修:西野精治
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公開日:2021.06.25