うんちは腸内細菌のかたまりだった!
排便の回数や量、状態は、体の調子を判断するもっとも手軽な方法です。便の約80パーセントは水分で、残る20パーセントのうち、食べ物のカスと剥がれた腸粘膜、腸内細菌が3分の1ずつを占め、わずか1グラムの便に約1兆個の腸内細菌が含まれているといわれます。
このため便をチェックすることで腸内フローラのバランスを推測することができるのです。
排便の回数は1日1回が一般的ですが、1日3回〜週に3回程度なら正常範囲内です。量は食事の量や内容によって異なり、1日の平均は100〜200グラム、野菜など植物性の食材が多い場合は量が多く柔らかく、肉類が多い場合は量が少なく乾燥した便になる傾向があります。
善玉菌が優勢なとき便は黄褐色のバナナ状(水分が約7割)で、いきまなくてもストンと出て軽く水に浮きますが、便のにおいがキツイときは、悪玉菌が優勢で、腸内環境の悪化が推測されます。
便の硬さや形状は、消化管の通過時間によって変わります。病院や介護の現場では、便の状態を記録するときに、便の形状と硬さを7段階に分けた「ブリストル便形状スケールが用いられます。
便の茶褐色は、脂肪を分解する胆汁によるもので、胆汁に含まれる「ビリルビン」という黄色い色素のために、茶色っぽくなるのです。
また、胃などの上部消化管で出血があるとコールタールのような黒い便となり、肛門に近い部分から出血があるとより鮮明な赤色になるなど、便の色で消化管内のおおよその出血部位を知ることも可能です。
最近では、善玉菌優勢のバランスのよい便を他人の大腸に入れて病気を治す、「便移殖」という驚くような治療法も動き始めています。便が最新のバイオテクノロジーの一端を担になうものとなっているのです。
出典:『図解 人体の不思議』監修/荻野剛志
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 人体の不思議』
監修:荻野剛志
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公開日:2021.10.18