耳垢のカサカサ、ネバネバも遺伝の影響?
耳垢さえも遺伝子で決まっている
突然ですが、アナタの耳垢は乾燥していますか? それとも湿ってネバネバしていますか?下の世界地図にあるとおり、人種や住んでいる地域によって耳垢のカサカサ(乾性)、ネバネバ(湿性)の構成比には明確な違いがあります。ヨーロッパ、アフリカ地域は湿性の人が圧倒的で、日本を含むアジア諸国は乾性が7~9割と多数を占めている状況です。これだけ見ると人種や地域的な傾向として受け止められてしまいがちですが、じつは耳垢の質は遺伝によって決まるものであり、世界的な出現率の差も遺伝による積み重ねの結果なのです。
耳垢の質がメンデルの法則によって決まることは古くから研究者の間では知られていましたが、関与している遺伝子を特定できたのは最近のこと。2006年に長崎大学の研究グループが16番染色体上にある「ABCC11遺伝子」が耳垢の質に関係していることを突き止めたのです。両親から「ABCC11遺伝子」の「アデニン(A型)」を受け継いだ場合は「AA型」となり、耳垢は乾性。両親のいずれか、あるいは両方から「グアニン(G型)」を受け継ぐと「GA型」「GG型」の湿性になる仕組みです。日本では耳垢が湿性の人はワキガになる可能性が高いともいわれており、近い将来、両者の関係性が解明される日も来るかもしれません。
日本人は耳垢カサカサが多数派!
耳垢のタイプには地域的、人種的な傾向が見られ、ヨーロッパやアフリカ諸国はほとんどの人が湿性(=ネバネバ)です。一方、日本を含む北東アジアの国々では乾性(=カサカサ)が人口の半数以上を占めています。
ABCC11遺伝子が耳垢のタイプを決める
耳垢のタイプを決めているのは、ABCC11遺伝子に含まれるグアニン(G)、アデニン(A)という一塩基多型です。この組み合わせがAA型だと耳 垢は乾性、GA型、GG型の人は湿性になるという仕組みです。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』著:安藤 寿康
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』
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公開日:2024.11.13