あのプロ野球選手の高校時代
●山田哲人(履正社)
日本プロ野球史上、唯一トリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)を複数回(3回)達成している男・山田哲人。ヤクルトの主砲として、球界屈指の5ツールプレイヤーとして活躍する彼の出身校は大阪の履正社。
山田在学時にはすでに大阪府内でも〝強豪〞に位置する高校だったが、当時の恩師・岡田龍生監督(現東洋大姫路監督)は山田について「能力は抜群。ただ、野球に対する意識は決して高くは見えなかった」と言う。
1年夏からベンチ入りし、試合にも出場。2年では二塁、3年時には遊撃レギュラーとしてチームの中心を担った。それでも、先輩のTー岡田(オリックス)や後輩の安田尚憲(ロッテ)とは、練習に対る姿勢や取り組み方で差があった。
一説には、山田が履正社を進学先に選んだのは「寮生活じゃないから」という噂もある。本人も過去に「中学生まではプロに行くなんて思っていなかった」と語っているように、決して「意識高い系高校球児」ではなかったことがうかがい知れる。
そんな山田に変化が生まれたのが、高校2年の冬。岡田監督いわく「練習への姿勢が少しずつ変わってきた」ことで、結果も出始める。チームは春以降の公式戦で快進撃。春季大阪大会で優勝、近畿大会で準優勝を果たし、夏の大阪大会でも優勝。山田自身にとっては初、同校にとっては二度目の甲子園出場を決めたのだ。
夏の甲子園では3回戦で敗れはしたものの、大会屈指の右腕だった聖光学院・歳内宏明(元ヤクルトなど)から本塁打を放つなど、全国の舞台でも能力をアピール。2回戦ではホームスチールを決め、現在と同じように「パワーとスピード」を存分に発揮した。
プロでも決して大柄ではないが、当時から体のバネや瞬発力は抜群で、スイングスピード154キロという当時の記録は今でも履正社史上ナンバーワンだという。春以降の急上昇により、プロからの評価もうなぎのぼり。結果的に同年秋のドラフトでヤクルトから〝外れ外れ〞1巡目指名を受けることになるのだが、岡田監督も「高校2年まではプロ入りすらどうかな……と思っていましたからね」と評価の高さに驚いたそうだ。
春からの急成長で1巡目指名を勝ち取った山田哲人。この夏も、そんな選手が現れるだろうか。
出典:『がっつり!甲子園2022』
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公開日:2022.08.08