「眠り」が賢い子を育てます
人間はもちろん、イヌやゾウ、魚や虫、それにアメーバまで、生きものは自然のサイクルにしたがって休んだり活動したりするようにできています。19世紀後半に電灯が普及するまで、ほとんどの人は暗くなったら寝て、日が昇ったら起きるといった具合に、休息と活動のサイクルを自然に経験していました。そして、子どもは眠くなったら昼寝をして、好きなだけ眠っていられたのです。
ところが現代はどうでしょう。技術が発達し、日々予定に追われるわたしたちは、自然のサイクルからはずれた生活を余儀なくされています。過去数十年間、わたしたちはより働き、もっと長く遊ぶために睡眠時間を削ってきました。そして、赤ちゃんにまで人工的なスケジュールにそった生活を強いるようになったのです。こうした慌ただしい生活のなかで、ふたつのごく当たり前のことが見落とされるようになりました。ひとつは赤ちゃんがどれくらい睡眠を必要としているか、もうひとつはどうすれば赤ちゃんが十分眠れるか、ということです。
生後1年目の赤ちゃんにとって、睡眠はもっとも大切な仕事のひとつです。そして、わたしたち親にとってもっとも大切な仕事のひとつは、赤ちゃんがぐっすり眠れるようにしてあげることです。睡眠を最優先してあげると、赤ちゃんのときから認知力を発達させたり、感情的知性を身につけたりすることができ、よく眠った赤ちゃんは、世界を自分のものにできるくらいたくさんのエネルギーをもった強い子に育ちます。
幸いなことに、睡眠と覚醒をつかさどる体内時計についてはいろいろなことがわかってきています。この本を読み、のちほどご紹介する「NAPSメソッド」を実行すれば、赤ちゃんは自然に体内時計にうまくあわせられるようになるでしょう。NAPSメソッドは、とくに、これから赤ちゃんが誕生したり、0歳から1歳以上の乳幼児がいる家族のみなさんに役立つようにつくられています。
生まれたときから備わっている体内時計は、最初の1年間でどんどん影響力が強くなっていき、赤ちゃんはこの時計の助けを借りて決まった時間に眠くなります。したがってNAPSメソッドを使って睡眠のリズムを見つけられたらそのリズムにあわせて子どもをより深く安らかに長く眠らせることができます。また、子どもが「よい睡眠」を身につけるのにも役立つでしょう。赤ちゃんがすでに生後9か月、10か月、あるいはもうすぐ1歳の誕生日を迎えるという場合、忙しいなか時間をさいてこの本を読む価値があるか、悩んでしまうかもしれません。読む価値は十分あります。このプログラムをはじめて数日あるいは数時間で、睡眠が改善されたことを実感できるでしょう。さらには、もうすぐ訪れる幼児期によりよい睡眠習慣を身につけるための準備も整います。
出典:『賢い子は1歳までの眠りで決まる』
【書誌情報】
『賢い子は1歳までの眠りで決まる』
ポリー・ムーア 著
睡眠を専門とするプロフェッショナルが考案、自分の子どもで実践し、さらに全米で実績を積んできた「NAPSメソッド」。これによって、子どもに良質な睡眠を与え、夜泣きを改善し、乳児期に学習能力を飛躍的に発達させることができます。メソッドの方法は非常に簡単で、子どもの睡眠を記録するだけというもの。生涯にわたって重要となる集中力、情緒の安定、コミュニケーション能力ものばす、本当に優秀な子を育てる育児書。子どもの睡眠障害を防ぐこともできます。
公開日:2022.12.16