イラクサ類 イラクサ科
無骨な毒棘に守られたクセのない繊細な旨み
イラクサ科イラクサ属にはいくつかの食用野草があり親しまれている。世界中にさまざまな種が存在するグループで、その多くが毒棘を持つ。棘にはギ酸やヒスタミンといった有毒成分が含まれており、敏感な人なら軽く触れただけで電撃のようなしびれを感じ、その後もジクジクとした痛みが続く。毒棘は加熱すると無毒化し刺さらなくなるため、少なからぬ種が食用にされている。とくに新芽のうちから太いミヤマイラクサは人気の高い山菜のひとつで、東北地方ではアイコの名前で親しまれる。アイには棘の意味があり、魚のアイゴと同じ語源とされる。
● 採れる場所:身近
シソのような葉に隠れた毒棘に注意
やや湿った谷間や林床など日が当たりすぎないような場所を好む。鋸歯の深い葉をつけ、全草に鋭い棘がある。棘は透明に近く見落としやすいため注意する。国内には中部地方以北にエゾイラクサ、本州と九州の一部にミヤマイラクサ、全国的にイラクサが分布している。
【出典】『野草・山菜・きのこ図鑑』著:茸本 朗
【書誌情報】
『野草・山菜・きのこ図鑑』
著:茸本朗
本書は、野草好きのYouTuberである著者が「食べたい草」に焦点を当てた異色の山菜図鑑。学者ではない著者が、自分の実体験に基づき、美味しい野草だけを厳選して紹介しています。ありふれた山菜図鑑とは一線を画し、実際に採取しやすく、利用価値の高い草を紹介する実用書として完成。野草採取の初心者にとってもわかりやすい内容で、自然と触れ合い、食べる楽しさを伝える一冊です。
公開日:2024.10.28