メンフィス・グリズリーズ河村勇輝! NBA選手になるまでの軌跡!
2024‐25シーズン、メンフィス・グリズリーズとツーウェイ契約を結び、田臥勇太(現宇都宮ブレックス)、渡邊雄太(現千葉ジェッツ)、八村塁(現ロサンゼルス・レイカーズ)に次ぐ日本人4人目のNBAプレイヤーとなった河村勇輝選手。172センチと日本人としても平均的な身長ながら、クイックネスとパスセンスで本場アメリカのファンを魅了する河村選手ですが、昨シーズンまでは日本のBリーグ、横浜ビー・コルセアーズでプレーしていました。今回は、そんな河村選手がNBAにたどり着くまでの軌跡をご紹介します。
【全3回の第3回】
プロ1年目となった2022‐23シーズン、リーグMVPと新人王をダブル受賞するという
Bリーグ史上初の快挙を達成した河村選手。その存在感は所属クラブの横浜だけでなく、日本代表でも日に日に大きくなっていきます。
シーズン終了後に行われたワールドカップではグループリーグ3試合、順位決定戦2試合すべてに出場し、グループリーグ唯一の勝利となったフィンランド線では25得点、9アシスト、さらに28年ぶりの自力五輪出場を決めたカーボベルデ戦も14得点8アシストと躍動。自他ともに認める日本代表のエースガードへとのし上がりました。
勢いそのままに迎えた2023‐24シーズンでは56試合に出場してリーグ2位、日本人選手としてはトップとなる1試合平均20.9得点をマークし、アシストも平均8.1でリーグトップ。MVP受賞は逃しましたが2シーズン連続でB1ベストファイブにも選出されました。
それまで国内の日本人ポイントガードと言えば、どちらかと言えば「外国人スコアラーのアシスト役」というイメージが強かったのですが、河村選手の出現によってそのイメージは一新。スコアリングにゲームメイクと、まさに試合を「支配する」新しいポイントガード像を日本バスケ界に定着させました。
シーズン終了後にはパリ五輪に日本代表として出場。日本はグループリーグ3戦全敗で敗退しましたが、河村選手は初戦のドイツ戦で11得点、7アシスト、2戦目のフランス戦で両チーム最多の29得点6アシスト、3戦目のブラジル戦でも21得点10アシストのダブルダブルをマーク。大会通じての平均20.3得点は出場全選手中3位と、五輪の舞台でその実力を証明して見せました。
そして五輪終了後の9月6日、グリズリーズとエグジビット10契約に合意。172センチという小柄な体格もあって、そのNBA挑戦は困難を極めるという大方の見方を裏切り、10月19日にはNBAと下部Gリーグ両方でプレーが可能なツーウェイ契約に合意。さらには開幕ロースター入りも果たし、同26日のヒューストン・ロケッツ戦で念願のNBAデビューを飾りました。
世界のトップ選手が集うNBAでは、エグジビット契約を結んだ選手であってもデビューに至らないケースは多々あります。その狭き門をクリアし、渡米1年目で開幕ロースター入りを掴んだ河村選手。シーズン開幕後はプレータイムこそ少ないながら、その実力を随所で発揮。極東のアジアからやってきた「NBA最少の男」への注目度はアメリカでも高く、1プレーごとにアリーナの観客から大きな声援が寄せられています。
もちろん、河村選手の挑戦はまだ始まったばかり。ツーウェイ契約のその先には、NBA「本契約」というさらに高いハードルが待ち受けています。本契約を勝ち取れば、リーグ戦出場機会が増えることははもちろん、契約額も大きく跳ね上がります。ちなみに、レイカーズと「本契約」を結んでいる八村塁選手の今季年俸は1700万ドル(約25億円)。
Bリーグの日本人として初めてNBAデビューを果たした河村選手が、この先どんな道を歩むのか……今シーズンもまだまだ眼が離せません。
文・花田雪
公開日:2024.11.24