量子が量子にしかできない「芸」を見せはじめた!
量子力学はここ15年を経て進展し、さらにこれからの20年ほどで大きく変わっていくと思います。それは「量子力学の社会進出」です。
物理学者はこれまで「ふしぎな現実」である量子の世界を確認するために時間を費やしてきました。まずは「量子のふしぎ」を見て確認する、そこからはじまりました。その結果、実にふしぎだとされた「量子っぽさ」は、とても壊れやすいものだということがわかってきました。
その状況を乗り越え、量子をきちんと見るために絶対零度付近まで冷やしたり、極限まで空っぽ
な真空装置をつくって邪魔がまったく入り込めないような工夫をしました。 そうした努力によって、量子は少しずつ正体を見せはじめたのです。
正体探しは、例えるなら草むらに隠れている動物探しのようなお話です。初めは草ぼうぼうの中から鳴き声が聞こえたり、たまに姿がチラッと見えたりしましたが、どんな動物なのか確認できません。邪魔な草をむしると姿がおぼろげに見えてきました。そこで草をすべて刈り取ってみると、これまで見たことのないような、魅力的でふしぎな動物がいました。その動物はとても賢そうなので、引き取って少しずつわたしたちの言葉を教えました。繰り返し教えていくと、動物はいろいろなことができるようになってきました。しかも、この10年ほどでわたしたちの「できないこと」さえ簡単にこなすようになってきた!
というわけで、今後、この動物(量子)が何を見せてくれるのか楽しみになっているのです。
さて、少し正体を見せはじめた量子は、わたしたちがこれまでできなかったさまざまなことをやってくれようとしています。「量子センサー」「量子通信」「量子シミュレーション」「量子コンピュータ」などの、いわば「芸」です。それも驚くような大技を見せてくれようとしているのです。
量子力学はいよいよ社会進出しはじめた!
量子世界の「ふしぎな現実」も少しずつ正体を現すようになってきたことで、量子力学の社会進出は急ピッチで進む。
量子の潜在能力はまだ未知だ!
大きな可能性を見せはじめてきた量子は、少し前までは思いもしなかった「芸」を示しはじめた。量子センサー、量子コンピュータ、量子シミュレーション、量子通信など、それらは驚愕するような大技といっていい。本書ではそうした量子力学の持つすごさを順を追って紹介していく。
量子の「芸」は大技だ!
量子の可能性は進展し、特にこの10年ほどで人のできないことも簡単にこなすようになってきた。これからの進化に大きな期待が持たれている。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話』著:久富隆佑、やまざき れきしゅう
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話』
著:久富隆佑、やまざき れきしゅう
その登場以来、物理学の常識を打ち破り、宇宙・自然観から人々の生活まで一変させた革命的理論といわれる「量子(論)」。近年のノーベル物理学・科学賞の受賞者のほとんどが量子論と関わった研究者といわれ、特に注目を集めている。
生命・時間・物質まで、この世界の根本、宇宙全体にわたる究極しくみ、生活に密接に関わり、すべての常識やナゾを解くカギと言われる「量子」だが、とにかく難解である。この量子を一から読み解く一冊。
量子とはそもそも何か?
このミクロの世界の量子が、なぜ重要なのか?
量子によって何がわかり、何ができるのか?
丁寧にとことんわかりやくイラスト図解で「不思議で面白い量子の世界」を読み解く超入門書!
公開日:2025.01.11