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オスが卵を温める「オヴィラプトルオヴィラプトル」とは?【眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話】

Text:大橋 智之

オヴィラプトル

泥棒の汚名を着せられた子育て恐竜

オヴィラプトルは白亜紀後期に現在のモンゴル付近に住んでいた、太く、短いクチバシをもつ小型の恐竜です。頭にはトサカのような円形の突起がありました。

オヴィラプトルとは「卵泥棒」という意味の名前で、最初に発見された化石のすぐ近くに、大量の卵の並んだ巣の化石があったことが由来です。このクチバシで卵の殻を割って食べたのだろうと思われたのです。

しかしその後の研究で、オヴィラプトル類はメスが卵を生むと、オスがその上に座り、羽根の生えた前脚で卵を覆うようにして温める抱卵を行なっていたことがわかりました。

卵を守りながら化石になってしまったオヴィラプトル。つまり、泥棒というのはまったくの誤解で、むしろ子育てに熱心ともいえる恐竜だったのです。この生態からも、恐竜が現在の鳥類に近いことがわかります。

2017年には、中国でオヴィラプトル類の孵化直前の卵の化石の新種が報告されました。

大きさは約45~60センチ。現在までに世界で発見されているうち最大の恐竜の卵となりました。ちなみに恐竜は、骨盤の形の違いなどで 竜盤類と鳥盤類の2つに大きく分けられます。

竜盤類はさらに肉食恐竜が含まれる 獣脚類と植物食の竜脚形類のふたつに分類されます。

オヴィラプトルはこの獣脚類に含まれる恐竜で、現在の鳥類の祖先もこの獣脚類から誕生しました。

これに対して、鳥盤類はすべて植物食恐竜です。これまではおもに装盾類、鳥脚類、周飾頭類の3つに分けられてきました。しかし、近年では新たな仮説も提唱されています。

オスが卵を温めるオヴィラプトル

オヴィラプトル

中生代白亜紀後期
爬虫類 恐竜類 竜盤類
獣脚類 コエルロサウルス類
約2メートル

オヴィラプトルの仲間の大多数の化石は、東アジア内陸部のモンゴル高原で見つかっている。

卵泥棒と呼ばれていたオヴィラプトル


当時の復元図

卵泥棒と誤解されていたころのオヴィラプトルは、復元図で表される際に、羽毛がない状態やほかの恐竜の卵を奪って走り去る姿を描かれることがしばしばあった。現代の復元図と異なっており、研究の進展が見て取れる一幕だ。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』代表監修:大橋 智之

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』
代表監修:大橋 智之


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