超貴重! 売れば大金となる可能性もあり!?[サソリの毒]
ひそかに忍び寄る「死のストーカー」
サソリはクモの仲間ですが、クモにはない2本のハサミと特徴的な尻尾を持っています。また、長い尻尾の先端には、獲物や敵に毒を注入するための毒針がついています。尾を立て、毒針をこちらに向けて威嚇する様は実に恐ろしく、ガラス越しに見ても思わず腰が引けてしまうほどです。
オブトサソリはそんなサソリのなかでも特に強力な毒を持っており、生息地域の北アフリカから中東にかけての砂漠地帯で人々に恐れられています。性格は極めて攻撃的。刺されるとのどが硬直して話せなくなり、やがて呼吸困難や筋肉のけいれんを引き起こします。
1回で注入する毒の量が少ないこともあり、大人が命を落とすことはまれでしょう。しかしながら、子どもでは60%が死に至るとされています。ひそかに忍び寄り死をもたらすことから、英名で「デスストーカー(死のストーカー)」と呼ばれているのも納得です。
サソリの毒にはさまざまな成分が含まれており、なかには鎮痛作用や抗菌作用を持つものもあります。そうした効能に着目し、将来的に医療目的で用いるための研究が進んでいます。特に、オブトサソリの毒にしか含まれていないクロロトキシンは、脳腫瘍の治療に有効ではないかと考えられています。
オブトサソリの特徴
・神経組織を破壊する強力な神経毒を持っているが、成人の致死率は低い。
・体の色は黄色もしくは緑色で、尻尾は黒みがかっている。体長は5~10cm。
・攻撃的な性格の持ち主。夜行性なので闇にまぎれてターゲットに忍び寄る。
毒は医療応用の見込みのあるため非常に高価
オブトサソリが1回に出す毒の量は2mg。貴重なうえに採取に手間と時間がかかるため、高額で取り引きされ、世界一高価な液体といわれている。
40億円(2020年現在) ← 3.8L(1米ガロン)
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』監修:船山 信次
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』
監修:船山 信次
日常生活のなかで、毒性のあるものを誤食したり、毒を持つ生物に触れたりして中毒症状が出たというケースは少なくありません。
スイセンやキノコの誤食など毎年のように発生しており、毒は非常に身近な存在です。
本書はまず毒とはなにかという毒の定義や作用などの基礎を化学や薬学の知識がない人にもわかりやすく解説。
例えば「地球上で最凶の毒は?」「青酸カリって舐めても大丈夫?」など、気になる毒の雑学とともに紹介します。
また、毒を持つハチ、カエル、クラゲなどの生き物やスイセン、アジサイ、トリカブト、カエンタケなどの植物やキノコ、アスベスト、ダイオキシン、火山ガスなど環境系の毒、
依存度が高いコカイン、危険ドラック、覚せい剤などの麻薬……etc.
人体に影響を及ぼすあらゆる毒を収録!
誰かに教えたくなる毒の最新知識や雑学が詰まった一冊です。
公開日:2025.03.14
