タランチュラの毒は強くない、でも噛まれると超痛い [クモの毒]
1匹で80人の命をうばう猛毒の持ち主
毒グモというとタランチュラを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。毛に覆われた体と太い脚は、見るからに恐ろしげで攻撃性も高そうです。ところがタランチュラの毒は、人間を死に至らしめるほど強くはないのです。噛まれればかなり痛いものの、その毒性はというと一般的なハチ毒よりも弱いくらい。したがってタランチュラは毒を獲物を殺すためではなく、弱らせるために用います。
その一方で、クモのなかには実際に強力な毒を持つ種類もいます。ブラジルドクシボグモ(クロドクシボグモ)をご存じでしょうか。ギネスブックにも「世界一強力な毒グモ」として認定された、まさに最強の毒グモです。
日本でクモというと軒下や木々の間に巣をつくるものと考えがちですが、ブラジルドクシボグモは巣をつくらない徘徊性のクモ。屋内にもかまわず侵入してきます。その毒性は極めて強く、1匹が持つわずかな毒80人以上の人間を殺すことができるほどです。また、噛まれると25分以内に死に至るといわれています。
ただし、この種が分布するブラジルやアルゼンチンなどの南米地域にはすでに血清があるため、現在、死亡事故はほとんど起きていないそうです。とはいえ、恐ろしい存在であることに違いはありませんが。
世界一強力な毒グモ
ブラジルドクシボグモ体長は5~8cm。体色は黒で口元だけ赤い。南米の熱帯雨林に生息している。
住まいに侵入するほか、バナナの果実に潜んでいることもある。噛まれると命にかかわることがあるが、生息地域の南米では血清があるので最悪のケースに至ることは少ない。
タランチュラに噛まれたら踊ればいい!?
タランテラ
南イタリアの都市タラントが発祥とされる舞曲。テンポの速さと激しい踊りが特徴。
イタリアのタラント近辺に、毒グモに噛まれたときは激しく踊れば毒が抜ける、または、毒の苦しさゆえに踊り狂って死ぬという毒グモ伝説がある。タランテラはこれにちなんだ舞曲で、現在も結婚式などで踊られる。タランチュラの名前の由来もこの伝説から。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』監修:船山 信次
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』
監修:船山 信次
日常生活のなかで、毒性のあるものを誤食したり、毒を持つ生物に触れたりして中毒症状が出たというケースは少なくありません。
スイセンやキノコの誤食など毎年のように発生しており、毒は非常に身近な存在です。
本書はまず毒とはなにかという毒の定義や作用などの基礎を化学や薬学の知識がない人にもわかりやすく解説。
例えば「地球上で最凶の毒は?」「青酸カリって舐めても大丈夫?」など、気になる毒の雑学とともに紹介します。
また、毒を持つハチ、カエル、クラゲなどの生き物やスイセン、アジサイ、トリカブト、カエンタケなどの植物やキノコ、アスベスト、ダイオキシン、火山ガスなど環境系の毒、
依存度が高いコカイン、危険ドラック、覚せい剤などの麻薬……etc.
人体に影響を及ぼすあらゆる毒を収録!
誰かに教えたくなる毒の最新知識や雑学が詰まった一冊です。
公開日:2025.03.15
