ガストルニス
チョコボ似の飛べない巨大鳥
中生代の終わりにユカタン半島に落ちた巨大隕石は地球環境を一変させ、約70%の生物種が姿を消してしまいます。しかし、恐竜の獣脚類(羽毛恐竜の仲間)から進化した鳥類は、続く新生代へと子孫をつなぐことができました。
ガストルニスは、その新生代の初期、現在のヨーロッパと北米あたりにいた地上歩行性の鳥です。
体高2メートルと人間よりも一回り大きく、体重は200キロ以上、巨大な頭に大きなクチバシをもっていました。ファイナルファンタジーに登場するチョコボのような姿というとわかりやすいかもしれません。ただし翼は退化しており、空を飛ぶことはできませんでしたが、かわりに強大な脚で地上を走っていました。
これまで、その巨大な頭部と鉤型の頑強なくちばし、強い力のある脚などから肉食だと考えられていました。しかし近年、骨の組成分析などの結果から、果実などを食べる草食もしくは雑食だった可能性が指摘されるようになっています。
北米には、ガストルニスに似たディアトリマという鳥がいました。最近の研究で、このふたつは同じ種であるという見解が一般的になってきました。いまではディアトリマという学名は無効になりガストルニスで統一されています。
新生代の幕開けにあたる古第三紀は現在の約6600万年前から約2300万年前になります。
さらに細 かく暁新世(約6600万年前から約5600万年前)、始新世(約5600万年前から約3400万年前)、漸新世(約3400万年前から約2300万年前)の3つに分けられています。ガストルニスが登場したのは古第三紀の暁新世ですが、始新世のうちには絶滅しました。
絶滅した飛べない鳥 ガストルニス
ガストルニス
鳥類
新生代古第三紀暁新世
ガストルニス類
約2メートル
40センチほどもあろうかというくちばしは、振り落とすことで対象物に強力なダメージを与えることができたと考えられる。
生き残った親戚
ガストルニスはおおまかに考えると、いまも生き残っているカモやニワトリ等と近縁だといえる。しかし、残念ながらガストルニス類を食べた人類はひとりもいない 。人類の誕生よりも前に彼らは絶滅てしまったのだ。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』代表監修:大橋 智之
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』
代表監修:大橋 智之
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公開日:2025.03.18
