春ブルーを緩和する!「五味」をバランスよく摂ることが大事なワケ【その、しんどさは「季節ブルー」】

【春のセルフケア】春ブルーを緩和する食べ物

酸味のある食材で肝を養う

春は「肝」の機能を助ける「酸味」(「五味」の1つ)の食材を積極的にとることが効果的です

酸味は肝の働きを強化し、エネルギーの過剰な発散をおさえる働きがあると考えられています。また酸味は、感情の起伏の激しさやイライラなど、春の高ぶった肝の「気」を穏やかにし、気のバランスを整える作用が期待できます。

具体的な食材としては、レモン、グレープフルーツなどの柑橘類、いちご、キウイフルーツなどの果物、トマト、お酢、梅干しなどがおすすめです。これらの食材を日々の食事に意識的に取り入れることで、肝の解毒作用をサポートし、気の流れをスムーズに保つことができます。サラダにレモン汁や酢をかけたり、食後にいちごやキウイフルーツを食べたりするなど、手軽に取り入れられる工夫をしてみましょう。

ただし、酸味を過剰に摂取すると、消化器系の「脾」の働きを弱める可能性もあるため、適量にしてください。バランスのとれた食事の中で酸味を上手に活用し、春特有の肝の気の乱れを整え、心と体の安定を促して、不調を和らげましょう。

緑色の野菜と苦味の食材

春は五行思想の「木」のエネルギーに属し、対応する色は青(緑)とされています。緑色の野菜は、肝の解毒作用や気のめぐりをサポートすると考えられており、冬の間に体内にため込んだ老廃物を排出するデトックス(浄化)にも効果的です。

ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、アスパラガス、春菊、ニラなどの緑色野菜を積極的に取り入れましょう。これらの野菜は、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で、新陳代謝を活発にし、体の内側から整える助けとなります。

また、春は肝の気が上逆しやすく、体内に熱がこもりやすい傾向があるため、「苦味 」のある食材も積極的にとることがおすすめ。苦味は熱を冷まし、気の滞りを解消し、体内の余分な湿気を取り除く作用があると考えられています。フキノトウやタラの芽、ウドなどの山菜、菜の花、ゴーヤ、春菊などが代表的な食材です。春菊を和え物にしたり、菜の花をおひたしにしたり、苦味のある山菜を天ぷらにしたりと、調理法を工夫しておいしく取り入れましょう。

『黄帝内経』では、苦味のある薬草は「心」を浄化するとも述べられています。緑色の野菜と苦味の食材は、春の心と体のバランスを整え、春ブルーの症状を緩和する大切な食養生です。

脾を養う甘味の食材と消化に良い食事

春は、五臓の「肝」の「気」が活発になる季節ですが、肝の過剰な動きは、「脾」を弱める可能性があります

脾が弱ると、食物の消化吸収能力が低下し、倦怠感、食欲不振、むくみ、下痢、腹部膨満といった症状が現れます。そのため、春には脾を優しくサポートする「甘味」のある食材もまた、適度にとることが大切です。ただし、加工された砂糖の甘味ではなく、自然な甘さの食材を選ぶよう心がけましょう。

具体的には米、大豆製品(豆腐、納豆など)、かぼちゃ、キャベツ、大根、リンゴなどです。これらの食材は消化に良く、胃腸に負担をかけにくいため、脾の機能を助け、「気血水」の生成を促します。特に、温かいスープやお粥、蒸し料理など、消化しやすい形でとることで、胃腸の負担を軽減し、効率的に栄養を吸収しましょう。

体が重だるく、食欲不振を感じやすい方は、あっさりとした食材だけでなく、これら消化に良い食材を取り入れた温かい食事が特におすすめです。

旬の食材をバランス良く

『黄帝内経』では、「五味」という5つの味(酸、苦、甘、辛、鹹)を不適切に使用すると五臓を損傷しかねないと警告されており、バランスのとれた食事の重要性を説いています

春は自然が目覚め、多くの野菜や果物が旬を迎える、生命力に満ちた季節です。季節の食材は、その季節の栄養素を豊富に含んでおり、私たちの体をその季節の変化に適応させる助けとなると考えられています。

これまでにあげた春の食材をバランス良く食事に取り入れ、春の「陽」のエネルギーに負けない体をつくりましょう。体の重だるさや食欲不振を感じやすい方は 、旬の野菜を取り入れたあっさりとした和食が最適。旬の食材を通して、自然のリズムに調和した食生活を送ることが、春の健康維持の鍵となります。

【出典】『その、しんどさは「季節ブルー」』著:長沼睦雄

【書誌情報】
『その、しんどさは「季節ブルー」』
著:長沼睦雄


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