火葬は浄化で土葬は再生? 世界各地で異なる「遺体の扱い」に表れる文化の違い【眠れなくなるほど面白い 図解 死の話】

遺体をどう弔うかで死生観がわかる

弔い方は自然とのかかわり方を映す

 人間はいつの時代も、死者の体を「どう自然に還すか」を考えてきました。その方法は地域や宗教、気候風土によって異なり、そこにはその社会が持つ死の哲学が表現されています。遺体の弔い方は、単なる習慣ではなく、世界の見方そのものなのです

 たとえば、火葬は「浄化」を重んじる文化の象徴です。炎によって肉体を燃やし、魂を天に送り出すと考えたインドや日本では、火が穢れを清める神聖な力とされてきました。

 これに対して、土葬は「再生」を信じる文化の象徴です。大地に還ることで命の循環に加わると考えられ、特にキリスト教やイスラム教では、やがて訪れる復活の日を待つ場として墓が設けられます。

 一方、チベットの鳥葬やモンゴルの風葬は、自然そのものに身を委ねるという思想を示しています。遺体を自然に還すことで、生命がそのなかへと溶け込んでいくと信じたのです。こうした文化では、死は終わりではなく、世界の営みのなかで役割を変える出来事でした。

 遺体をどう扱うか――それは、「人はどこから来て、どこへ還るのか」という問いへの答えにほかなりません。それぞれに見られる異なる処理の仕方にこそ、その文化が持つ死生観が強く反映されているのです。

さまざまな遺体の弔い方

火葬

日本・インド

遺体を焼却し、残った遺骨を埋葬する

土葬

ヨーロッパ・中東

遺体を土に埋める

鳥葬

チベット

ハゲワシに遺体を食べさせる

風葬

モンゴル・中央アジア

遺体を自然のなかにさらし、風化させる

世界には多様な弔い方が存在する。現代の日本では火葬が一般的だが、世界に目を向けると土葬や鳥葬、風葬が行われる地域も。

それぞれの弔い方には意味がある

火葬の場合

たとえば、火葬は浄化の儀式であり、魂を天へ返す象徴でもある。炎は、再び生への循環へと導く光と考えられてきた。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 死の話』監修:島田裕巳

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