優劣なし! 筋トレ手法「全身法&分割法」は目的に合わせて選べば良い【鍛え方の最適解がわかる 10万論文筋トレ】

全身法と分割法に、明確な優劣はない

総負荷量を統一すれば、効果に差違なし

 1日のトレーニングで全身を鍛える「全身法」と、全身をいくつかの部位に分けて1週間で全身を鍛える「分割法」、どちらが筋肥大率を最大化させるのかという問題は、以前から活発に議論が行われてきました。

 2022年にマドリード工科大学から発表されたメタ分析では、総負荷量を統一することで全身法、分割法、どちらも同様の筋力増強・筋肥大が引き起こされるという結果でした。1週間のトレーニングで扱う重量と回数、セット数の総量を同じにすれば、日によって鍛える部位を変えても1日で全身を鍛えたとしてもトレーニングの効果は特に変わらないというものです。

 なんとなく分割法のほうが主流というイメージがある人も多いでしょうが、これは約10年前にアメリカスポーツ医学会が、「筋肉の合成はトレーニング後48時間続き、その間に筋トレをしても効果は薄い」と提唱したことが背景となっています。このことから、筋肉の合成期間を考えると週3回のトレーニングで部位を分割して鍛える分割法のほうが効率がよく、精神的な負担も軽い、合理的なトレーニングだというのが常識となったのです。

 しかし、2021年にイギリスのチチェスター大学から発表されたレビュー論文において、筋肉の合成がトレーニング後48時間続くという科学的根拠はないことが明らかになり、この説は否定されました

全身法と分割法のメリット・デメリット

 総負荷量を揃えることで筋力増強・筋肥大の効果は変わらないといっても、自身の身体状況によっては分割法のほうがメリットがあったり、全身法のほうが有効である場合もあるので、全身法・分割法それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分にあったトレーニング法を見つけることが大切です。


・全身法のメリット

 1回のトレーニングで全身の筋肉に刺激を与えるため、少ない回数でも全身をバランスよく鍛えることができ、消費カロリーも大きいため、ダイエットにも効果があります。また、トレーニングによる筋分解の予防効果も見逃せません。2024年、ベルギーのゲント大学の研究から、筋力トレーニングで鍛える筋肉は筋分解を予防することがわかっており、減量期のエネルギー不足で鍛えていない部分の筋分解が進みやすくなる分割法に比べ、全身を鍛えることで減量期における筋萎縮を最小限にとどめることができます。そのため、減量期には分割法ではなく、全身法を行うことが推奨されています。

・全身法のデメリット

 デメリットとしては、全身の疲労による筋トレの継続率の低下とオーバートレーニングの危険性があげられます。高強度の負荷による筋肉痛で筋トレを休んでしまうと、継続率の低下だけでなく、総負荷量の不足で筋肉増強・筋肥大が起こらない、起こりにくい状態になってしまいます。さらに、一度に全身を鍛えようとするとトレーニング時間が長くなり、オーバートレーニングになりやすいという危険もあります。特に、身体を〝追い込む〟感覚がわからない初心者の場合は、分割法が有効といわれます。

・分割法のメリット

 1回のトレーニングで部位を限定して鍛えるため、1回のトレーニング時間が短く、疲労度も少ないので継続率が高まります。また、ひとつの部位を集中して鍛えることができるので、〝追い込む〟感覚を養うことができ、ホルモン反応を最大化させることができます。さらに、疲れた部位を回復させている間にほかの部位を鍛えることができるので、効率がよいのも特徴です。

・分割法のデメリット

 部位ごとに鍛えるため、全身法に比べるとどうしてもカロリー消費量が少なくなります。基本的に1週間で全身を鍛えるルーティンなので、ある部位を特化して鍛えたいと思っても、順番を守る必要があり、鍛える頻度が下がりがちです。


 全身法と分割法は、どちらも総負荷量を統一することで筋力増強・筋肥大率は特に変わりません。ただし、減量期の人は全身法のほうが筋分解を予防できますし、筋トレ初心者は分割法のほうが継続率を高め、筋肉を”追い込む”感覚を養うことができるので、自分の状態に合わせて選ぶようにしましょう。正しくトレーニングをすれば、必ず筋肉は応えてくれるので、継続して筋トレを楽しむことが大切です。

【出典】『鍛え方の最適解がわかる 10万論文筋トレ』著:理学療法士・パーソナルトレーナー 論文男

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