寝不足でも筋トレの質を維持する!コルチゾールレベルを正常化してトレーニング効果を下げない3つの対策

睡眠不足でも、筋トレの質を維持する方法がある

カギはコルチゾール

 筋トレの効果を最大化するためには、1日7〜8時間の睡眠が必須といわれます。実際に、睡眠不足のまま筋力トレーニングを行うことによる筋力への影響を調査した2018年のオーストラリアのディーキン大学の研究では、3日〜1週間睡眠不足になることで、筋力は最大24%も減少するというデータが出ています。この急激な筋力低下には、ストレスホルモンであるコルチゾールが強く関与しているとされ、睡眠不足でコルチゾールは42%も増加するというデータもあります。

 さらに、2020年にビクトリア大学が1日8時間睡眠と4時間睡眠で比較を行ったところ、筋タンパク質の合成率が平均19%も低下し、筋肥大率にも悪影響があることが確認されています。

 睡眠不足によるストレスからコルチゾールレベルが上がって神経疲労を引き起こし、筋力を低下させて筋肥大率までもが低下するというわけです。

 逆を言えば、7〜8時間の睡眠が確保できないときでもコルチゾールレベルを正常化、もしくはコルチゾールの悪影響を帳消しにするくらいの神経の活性化ができれば、筋トレの質も維持できるということです。


コルチゾールレベルを正常にする方法

 睡眠時間を確保できないときでも、神経疲労を癒やし、筋肥大や筋力増強を引き起こすためには、「コルチゾールレベルを正常にする」「神経を活性化する」というふたつのアプローチがあります。まずはコルチゾールレベルを正常化させる方法です。

1 短時間の昼寝の導入

 2015年にソルボンヌ大学から発表されたデータによると、6時間睡眠でも10分〜30分以内の昼寝をすることで、コルチゾールレベルを正常化できることがわかりました。また、昼寝と運動能力の関連について調査した2021年のアップルトン行動科学研究所のレビュー論文によれば、約15分間の昼寝によって運動パフォーマンスが向上することはもちろん、メンタルの改善、夜の睡眠の質の向上が見られ、短時間の昼寝を導入することによってトレーニングの質が上がることが証明されています。

2 トレーニング中にスマートフォンを触らない

 2021年にブラジルのパライバ連邦大学から発表された、筋トレ前や筋トレ中のスマートフォンの操作によるストレスホルモンのレベルと筋力の変化に関する研究では、筋トレ前にSNSを使用することで筋力は有意に低下し、トレーニングボリュームは29%低下しました。しかも、知覚される努力量や参加者のモチベーション、血中乳酸濃度に変化はなく、本人の自覚がまったくないにもかかわらず、コルチゾールレベルが上昇して筋力が低下し、それに伴ってトレーニングボリュームも下がっていたのです。

 睡眠不足が続くなかでのスマートフォンの操作は確実にパフォーマンスに悪影響を及ぼすので、注意しましょう。

3 太陽の光を浴びる

 2013年にコロラド大学から発表されたデータでは、朝太陽の光を浴びてサーカディアンリズム(自然な生体のリズム)をつくることで、コルチゾールレベルが正常化することがわかっています。睡眠不足でも、朝起きたら太陽の光を5分浴びて身体を正常に起こしましょう。

【出典】『鍛え方の最適解がわかる 10万論文筋トレ』著:理学療法士・パーソナルトレーナー 論文男

【著者紹介】
論文男(ろんぶんおとこ)
理学療法士。パーソナルトレーナー。現役理学療法士として、小児・スポーツ選手・高齢者のリハビリに従事する傍ら、13年以上の指導経験を生かし、科学的データに基づいたエビデンスレベルの高いトレーニング方法を発信。年間500本以上の論文を読み漁り、最新研究を現場で実践に落とし込む。YouTube 『論文で解決 〜筋肉と栄養を科学する』は登録者23万人以上。3児の父として、忙しいワーカー向けに最短で理想のボディを作るメソッドも開発。筋トレ・栄養・リカバリーを科学的に体系化した指導に定評がある。

【書誌情報】
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