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元オリンピック&日本代表コーチ田中信弥が解説するサービスとストロークのフォームを見てコースを予測&判断する方法とは!?【新装版 勝てる!理系なテニス】

相手のフォームを見てコースを予測&判断

●田中信弥/元オリンピック&日本代表コーチ

●サービスなら、ここを見る!
松尾さんから、サービスにおける予測&判断の質問が出ましたので、お答えします。以前、予測セミナーを開催したとき、私はデモンストレーションを行ないました。ある若い選手のサービスを1回見ただけで、「彼は次のサービスを、フォア側に打ってきます!」と断言してリターンの位置に立ったのです。そのとおりになりました。

なぜか? その若い選手のトスが、身体から離れた所に上がっていたからです。つまり、スライスサービスを打ちやすいトスだった。なので、デュースコートであればワイド(サイド)に、アドバンテージコートであればセンターに打つ回数が必然的に多くなるわけです。

このように、サービスを打ってくる頻度の高いコースがわかれば、相当有利に試合を進められます。もちろん選手ですから、散らしてサービスを打ってきます。でも、身体は嘘をつかない。「ここぞ!」というときや、緊張しているときなどは、身体が打ちやすいと感じる方向に打つことが多くなるのは自然の理です。

この若い選手の場合は、トスを身体から離れた所に上げていた。つまり、身体が楽に感じるのはスライスサービスを打つとき。イコール、私のフォアハンド側にサービスが飛んでくるのが、いちばん自然だったのです。

気になるのは、「フォアハンド側に打ってくることを予測していて、バックに打たれたらどうするのか?」ということだと思います。その場合は、対応するだけです。予測して外れた場合は、対応するだけなのです。「うわっ、予測が外れた。しっかり構える時間もない。しょうがない、とりあえずスライスで返球だ」という感じで対応します。

●ストロークは、ここを見る
ストロークの場合はどうでしょうか。相手の打ち方を見て、ボールの飛んでくる方向を予測するのか? それとも、ボールの飛んできたコースをパーセンテージでデータ処理し、予測に使うのか?

 両方です。打ち方の癖を見抜き、予測・判断を行ないます。そして「コートのどこに打つことが多い選手か?」を、過去データがあるなら覚えておくことも有効です。さらに言えば、「今日はこっちの方向に打つことが多いな!」と、当日予測、当日判断も行ないます。

ただし、対戦相手の打ち方を見て、ボールが飛んでくる方向を予測・判断することは、かなりの経験値が必要です。ですから、最初は「ローボールヒッター? ハイボールヒッター?」だけを見分けてください。打点を落として打つのが好きなローボールヒッターは、基本、コートの真ん中からクロスにボールが飛んでくることが多い(たとえ質の高いクロスでなかったとしても)。

なぜなら、低い打点からストレートに打つのは、技術的に難しいからです。逆に、高い打点から打つのを得意とするハイボールヒッターなら、真ん中からストレートにボールが飛んでくることが多くなります。高い打点のボールをしっかりクロスに打つことも、技術的に大変難しいからです。

【ポイント】相手のサービスのトスを上げる位置を見ると、打ってくるコースの予測&判断がしやすい。相手リターンで見るべきポイントは、まずはローボールヒッターか? ハイボールヒッターか? である。

『新装版 勝てる!理系なテニス 物理で証明する9割のプレイヤーが間違えている〝その常識〟!』
著者:元オリンピック&日本代表コーチ 田中信弥
理論物理学者 松尾衛

元オリンピック&日本代表テニスコーチと気鋭の物理学者による常識を覆すテニス理論、指南書。5万人超のウィークエンドプレーヤーが納得した現場理論を、理論物理学で証明した、すべてのプレーヤーのテニスを躍進させる書。「サービズは上から下に打つのは間違い」「テニスは不等式でできている」「身体は動かさずに打つ」など、常識破り、型破りな指導法で結果を出し続ける田中コーチの独自のテニス理論を、理学博士の松尾氏が自ら体験で得たプレーを「物理屋」の観点で解説・証明する―――まったく新しいテニスの本! 

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