筋肉痛のままの筋トレでも筋肥大は起こる!研究でわかった「筋肉痛治療ランキング」も紹介【鍛え方の最適解がわかる 10万論文筋トレ】

筋肉痛がある状態での筋トレでも筋肥大は起こる

筋肉痛はどんな状態?

 2004年に発表された論文では、筋肉痛になった状態の大腿四頭筋をMRIで評価しています。トレーニングによって筋肉痛が生じた脚と、特に運動していない反対側の脚を比較すると、筋肉痛のある側では大腿四頭筋が全体的に白く映り、水分が多い「高信号」を示していることが確認されています。

 MRIで筋肉が白く映る原因には、水分の増加、炎症反応、筋線維の損傷の3つが考えられます。筋肉痛では、激しい運動などで傷ついた筋線維を修復するために炎症反応が起こり、これによって血管が拡張して水分が染み出し、筋肉組織の水分が増加することで、MRIでは白く映ります。

 そして、2024年の新しい研究では、筋肉痛の主要な原因についてMRIと超音波を使って分析した結果、筋肉痛の痛みは筋線維自体の損傷による痛みというより、筋膜がもたらしていることが明らかになりました。

筋肉痛を抱えた状態で筋トレを行うと……

 筋肉痛を抱えた状態で、筋トレを行うことは意味があるのでしょうか。筋肉が損傷した状態で筋肉を鍛えても筋肥大は起こるのか、という疑問です。この疑問を徹底的に追求してくれたのが、2006年に台湾国立嘉義大学から発表された研究です。

 51名の筋トレ初心者に高負荷のダンベル運動を行ってもらい、筋肉痛が起きた後に被験者の半分は「筋肉痛が治まるまで休憩」し、もう半分は「筋肉痛のまま次の運動」を行い、筋肥大や痛みにどんな変化をもたらすのかを検証しました。

 その結果、筋肉痛のまま筋トレをしてもしっかりと筋肥大が見られたうえに、痛みが増すこともなかったのです。研究者は、そもそも不慣れな運動によって起こる筋肉の微細な損傷と筋肉の発達とは、ほぼ無関係であると述べています。筋肉痛が起きるたびに筋トレを休んでいては筋トレの継続率も下がってしまうので、ある程度の痛みであればそのまま筋トレを行うことをおすすめしています。

筋肉痛を最速最短で治療するための科学的手法

 とはいえ、トレーニングの総負荷量を確保するためにも、筋肉痛は早めに治すことが望ましいです。2018年にフランスのポワティエ大学から、筋肉痛を改善するもっとも有効な方法に関するメタ分析が発表され、マッサージ、寒冷療法、ストレッチ、軽い運動、着圧ウェア、冷水浴、交代浴、電気刺激の8つの方法のうち、どれがもっとも筋肉痛を最速最短で治療するかのランキングづけが行われました。どれも筋肉痛に効果があるとされる方法ばかりですが、時間の経過によってどれがもっとも効果があるのかを効果量で測る、貴重な研究です。

 分析の結果、ランキング形式でいえば、第3位着圧ウェア、第2位軽い運動、そして第1位がマッサージという結論になりました。ただし、トレーニング後6時間以内でもっとも効果が見られたのは、「軽い運動」です。クールダウンのような感じで、筋トレ後にウォーキングをすると、筋肉痛は悪化しにくいとされます

 着圧ウェアは、特に長期間筋肉痛が続いている状態で筋トレを行うときには、痛みを忘れさせてくれる効果があります。重度の筋肉痛で休んでいた筋トレを、そろそろ再開したいがまだ痛みが残っているという場合には、着圧ウェアがもっとも効果的となります。

 そして、筋肉痛に効果がある方法の第1位はマッサージです。筋トレ後、どの期間においても効果があるので、確実に筋肉痛をなくしたい場合はマッサージがおすすめです。2017年の上海スポーツ大学のメタ分析でも、マッサージは筋肉痛や全身の疲労感を改善するのに有効な手段であるという結論が出ているので、筋肉痛だけでなく疲労感が残った際もぜひマッサージを実践してみてください。

 そのほかの寒冷療法や冷水浴、交代浴に関しては、炎症を抑えるというデータはありますが、筋肉痛を改善する効果には乏しいようです。

結論

✓筋肉痛の状態で筋トレをしても筋肥大し、筋肉痛が増すこともない
✓筋肉痛にもっとも効果的なのは、マッサージ。次いで軽い運動

【出典】『鍛え方の最適解がわかる 10万論文筋トレ』著:理学療法士・パーソナルトレーナー 論文男

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