人間関係のストレスを根本から断つ 無理せず「バウンダリーのくせ」を修正する4ステップ【しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー】

「バウンダリーのくせ」を修正するための4ステップ

ここでは、僕がバウンダリーのワークショップでお伝えしている、バウンダリーのくせを直すための4ステップを紹介します。「よし、明日から変えよう」と意気ごまず、無理せずに取り組んでみてください。

STEP1 バウンダリーを知る・学ぶ

ここまで読んでくださったみなさんは、バウンダリーがどんな概念であるか、「境界線」がいかに大切なものなのかを、理解してくださったかと思います。そして、バウンダリーのスキルを実践するにあたって、アサーティブコミュニケーションと対話が欠かせないものだとわかっていただけたことでしょう。

バウンダリーを知り、学んで、「関係」の概念から新しい概念へとスイッチする。それが、心地のよい毎日への入り口となります。

STEP2 自分の「バウンダリーのくせ」に気づく

バウンダリーは「からだ」「感情・意志」「責任」「時間」「お金」の境界という、5つに分けて考えられるとお話ししました。これらの境界に混乱が生じると、人間関係の悩みや自分自身の悩み、苦しみへとつながっていきます。

「境界の混乱」には多くの場合、あなたのバウンダリーのくせが大きく影響しています。しかし、バウンダリーのくせに気づくのはなかなか難しいものです。次のような方法が、気づきを得るヒントになるでしょう。

・ふだんの自分の行動や発言を思い返す
・他者と語り合う
・他者を観察して、自分の行動や発言に照らし合わせてみる

「すぐ相手にいいくるめられてしまうのは、わたしの感情・意志の境界が混乱しているからかもしれない」
「子どもがトラブルを起こすと、いつも母親である自分が責任を取ろうとしてしまうけれど、それは責任の境界を踏み越えているのでは」
「自分の後輩への接し方は、自分がつらいと思っていたかつての上司の接し方にそっくりだ」

こんなふうに自分のバウンダリーのくせに気づければしめたもの。本書で紹介しているスキルを使って「境界線」の引き方を見直し、少しずつ修正していけばよいのです。

STEP3 「バウンダリーのくせ」を書き出す

バウンダリーのくせに気づいたら、いよいよ実践編です。

プライベートで、職場で、家庭で、あなたはどんなバウンダリーのくせがあると気づきましたか? それらをリストに書き出してみましょう。

続いて、簡単に変えられそうなもの、取り組みやすそうなものを順位付けしてみてください。以下は順位付けしたリストの例です。カッコ書きは参考までに境界の種類を示したもので、リストに書きこむ必要はありません。

(1)買い物に出かけると、よけいなものを買ってしまう(お金の境界)
(2)寝る前にSNSを見るのが習慣になっていて、イライラや興奮から眠れなくなることが多い(感情・意志の境界、からだの境界)
(3)自分のミスをいつも誰かに責任転嫁してしまう(責任の境界)
(4)嫌なことがあるとすぐパートナーに当たってしまう(感情・意志の境界) 

 など

    バウンダリーのくせを一気に直そうとすると、しんどいし心地悪くてしかたありません。それはあなたの周囲にいる人たちも同じこと。あなたが突然変わってしまったら、周囲にいる人もとまどってしまいます。

    あせらず急がず、変えやすそうなものから、ひとつずつトライしていきましょう。

    バウンダリーのくせを書き出して、手のつけやすいものから優先順位をつけてみましょう。

    STEP4 取り組みやすいものから修正していく

    バウンダリーのくせの順位表ができたら、いちばん順位の高いものから、無理のない範囲で修正していきましょう。先ほど挙げたリストの例なら、①の「買い物に出かけると、よけいなものを買ってしまう」からトライします。修正法としては、「買い物リストをつくる」「買い物に必要なお金だけもっていく」などが挙げられます。

    バウンダリーのくせを修正し、「境界の混乱」を減らすためのテクニックをまとめています。くせをどう修正すべきか悩んだときは、こちらを参考にしていただけたら幸いです。


    STEP① バウンダリーを知る・学ぶ

    バウンダリーの考え方に触れ、理解を深めることが、自分のバウンダリーのくせに気づくための第一歩です。

    STEP② 自分の「バウンダリーのくせ」に気づく

    ふだんの自分の行動や発言を思い返してみてください。どこかで「境界の混乱」が起きていることに気づくはずです。

    STEP③ 「バウンダリーのくせ」を書き出す

    思いついたものから、自分のバウンダリーのくせを書き出してみましょう。

    STEP④ 取り組みやすいものから修正していく

    「これなら手をつけやすそう」と思うものから、バウンダリーのくせを修正していきましょう。いきなり大きく変えようとせず、少しずつ修正するのがポイントです。

    【出典】『しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー』著:長谷川俊雄/イラスト:高木ことみ

    【著者紹介】
    長谷川 俊雄
    白梅学園大学名誉教授、社会福祉士、精神保健福祉士、NPO 法人つながる会代表理事、social work lab MIRAI 代表。
    1981年から横浜市役所の社会福祉職として現場で活動したのち、精神科クリニックのソーシャルワーカーに転職。その後、愛知県立大学での教員経験を経て、2009年に「NPO 法人つながる会」を設立。2010年から白梅学園大学に移り、教育・実践・政策提言に携わる。2023年に「social work lab MIRAI」を開設し、援助職支援や家族支援にも取り組む。「バウンダリー」についてのワークショップを各地で行っている。

    【イラストレーター紹介】
    高木ことみ
    ゆるくてかわいいイラストを制作するイラストレーター。とくに、難しい内容を図やイラストを用いてわかりやすく伝えることが得意。見ている人に親しみを感じてもらえるような表現を心がけている。おもな作品に『ゆるゆる稼げるWeb ライティングのお仕事はじめかたBOOK』(技術評論社/表紙・本文イラスト)、『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめるポリヴェーガル理論』(日本文芸社/表紙・本文イラスト)など。

    【書誌情報】
    『しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー』
    著:長谷川俊雄/イラスト:高木ことみ


    【Amazonで購入する】

    「バウンダリー」とは、自分と相手の合意のもと「ここからは立ち入らないでね」という境界線を引くことで、「わたし」と「あなた」の安心・安全・尊厳を守る考え方です。

    本書はこの境界線を引く考え方から、仕事・家庭・人づきあいの中のしんどい場面で実践できる具体的な対処法まで、あわせて紹介します。
    ・怒っている相手に委縮してしまう
    →「hear」「listen」「ask」3つの「聞く」を使い分ける
    ・NOと言えない
    →即答せず「持ち帰る」だけでもOK
    ・苦手な目上の人がいる
    →相手への「評価」の置き方を変えてみる
    ・長い会議で人疲れする
    →深呼吸や簡単な瞑想で境界線をリセット など

    人間関係をもっとラクに、安心・安全にするために、「わたし」と「あなた」のあいだに心地いい境界線をつくるためのアイデアを紹介します。

    「仕事や責任を押しつけられて、いつも自分ばかり損をしている」
    「人の言動や気持ちに影響されて、振り回されてしまう」
    「人を優先しすぎて、自分の時間や人生がすり減っていく」
    「つい家族やパートナーに干渉しすぎてしまう」
    「人間関係がしんどくなり、リセットを繰り返してしまう──」
    こうした人間関係の悩みの根本には、バウンダリー(境界線)の混乱が隠れているかもしれません。

    バウンダリーの考え方を取り入れることで、これまでとは違う視点から人間関係の問題を整理し、自分をすり減らさない選択ができるようになります。

    ■バウンダリーを5つのカテゴリで整理
    バウンダリーを
    「からだ」「感情・意志」「責任」「時間」「お金」
    という5つの領域に分けて紹介。
    人間関係の悩みがどの境界線の混乱から生まれているのかが見え、状況を冷静に捉えやすくなります。

    ■「ライン」と「ベルト」で境界線を使い分ける
    境界線を細い「線(ライン)」だけでなく、状況に応じて幅をもたせた「ベルト」として捉える考え方も提案。
    相手や場面によって無理なく距離を調整する方法がわかります。

    境界線を引けるようになると、
    ・自分のからだと心を危険や消耗から守れる
    ・安心・安全で心地よく過ごせる
    ・誰にも支配されず、自分の感情や考えを大切にできる
    ・自分の行動や価値を、自分で決められる
    ようになります。
    しんどい人間関係に悩むあなたへ。
    自分も相手も尊重しながら、人と関わるための一冊です。

    この記事のCategory

    オススメ記事

    5つのバウンダリーを自己診断! 気付かぬうちに起こっている「境界線の混乱」を認識すべき理由【しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー】

    「自分を変える」ために急なキャラ変は必要なし!染み付いた「バウンダリーのくせ」は少しずつ修正できる【しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー】

    【子は親の鏡】「社会的学習理論」から学ぶ、バウンダリーのクセとは?【しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー】

    【心の独立と協調】お互いの納得で心に柔軟性を持たせる「バウンダリーベルト」という概念【しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー】

    境界線は「拒絶」ではない? 自分も相手も大切にするためのコミュニケーションスキル3つを紹介【しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー】

    境界線の引き方を4ステップで学ぶ 箸の持ち方と同じように身についてしまった「心のくせ」を直す方法【しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー】

    家族で知っておきたい「バウンダリー」という概念 家の中で「よそ行きの顔」が必要なワケ【しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー】

    自分を大切にする「バウンダリー」の考え方。近年日本でも注目の概念とは【しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー】

    求人情報

    インフォテキストが入ります