未病の段階でケアしたい「季節性感情障害」が及ぼす日常生活の影響とは【その、しんどさは「季節ブルー」】

季節ブルーを放置するとどうなるの?

重度の「季節ブルー」になると、それはもはや「何となくの不調」という状態を超え、特定の心身システムが正常に働かなくなる機能不全状態、つまり明確な「病気」に至ったと言えます。この段階は、西洋医学において「季節性感情障害」と位置づけられます。病気の段階では、未病の段階で見られた症状が格段に悪化します。気分の落ち込みは絶望感にまで深まり、これまで楽しめていたことにも興味や喜びを一切感じられなくなるなど、日常生活や社会生活に深刻な支障をきたします。

意欲は著しく低下し、朝、布団から起き上がることすら困難になります。集中力や思考力も極度に落ち、仕事や学業の遂行が不可能になることも。最悪の場合、希死念慮が現れるなど、命に関わる深刻な状態に陥り、身体的な苦痛も強まります。

眠れない、あるいは逆に一日中寝てしまうといった極端な睡眠障害、激しい頭痛やめまい、休んでもとれない倦怠感などが慢性的に続きます。

これは、最新の研究で指摘される「慢性疲労症候群」の病態と言えるでしょう。細胞の活動に必要なエネルギーをつくり出すミトコンドリアの機能不全が原因となって、細胞が深刻な代謝異常となる可能性があります。もはや「何となくの不調(機能失調状態)」ではなく、細胞レベルでのエネルギー産生に破綻をきたしているのです

この段階では、専門医による治療や施術が不可欠となります。病態を説明する心理教育、抗うつ薬などの薬物療法、光線療法、ビタミン剤や抗酸化物質などの処方や点滴などが行われます。

東洋医学においても、深刻な「気血」の不調を改善するために、専門家による漢方薬処方や整体療法、鍼灸治療といった、より踏み込んだアプローチが必要となります。

季節ブルーの進行を、火事にたとえてみましょう。体のバランスが崩れる「何となくの不調」は、いわば「煙が立ち上り、警報器が鳴り始めた」段階です。この時点で対処すれば、本格的な「病気」となり家全体が燃え落ちる状態に陥るのを防ぐことができるのです。

【出典】『その、しんどさは「季節ブルー」』著:長沼睦雄

【書誌情報】
『その、しんどさは「季節ブルー」』
著:長沼睦雄


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「春先はいつもイライラして、眠れない」
「雨が降る前は、決まって頭が痛い」
「秋になると、理由もなく気分が落ち込む」
「寒い冬はずっと気分が鬱々としてしまう…」

毎年やってくる季節の変わり目の不調。
それは、あなたの「気のせい」でも「怠け」でもありません。
実は近年、こうした「季節ブルー」を感じる方がとても多くみられます。

西洋医学では「自律神経の乱れ」や「ホルモンバランスの変化」と説明されるそれらの不調は、二千年以上前の東洋医学の聖典『黄帝内経』によれば、自然界のエネルギー(気)と私たちの体が共鳴し合うことで生じる、ごく自然な反応です。

だから、心と体がしんどくなっても、決して自分を責めないでください。

本書は、過敏性研究の第一人者である著者が、西洋医学の豊富な知識で不調の「正体」を解き明かしながら、東洋医学の知恵を用いて、あなたに寄り添う1冊です。

最新の医学的知見と、古代からの壮大な知恵を組み合わせ、「なぜ季節の変わり目に、あなたの心と体はゆらぐのか?」その根本原因を解き明かし、気圧、気温、湿度、日照時間といった自然のリズムと上手に付き合い、自分自身を優しくいたわるための具体的な「養生法」を提案します。

私たちが本来持っている自然治癒力を引き出し、根本からゆらぎにくい心と体質へと整えていきましょう。
ページをめくるごとに、自分の不調の正体がわかり、心がふっと軽くなるはずです。

もう、季節の変化に振り回されない。
これは、変化の多い時代を生きるあなたのための、一生もののお守りとなる一冊です。

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