月にうさぎが見えるのは日本人だけ?脳がつくる“見え方”の謎【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】

月の海と高地が織りなすコントラスト

月の表面をよく見ると、明るい部分と暗い部分のまだら模様になっていることがわかります。昔の人はその模様を「うさぎが餅をついている」姿に見立てました。いわれてみると、たしかにそのように見えてきます。

月の表面の模様を形づくる暗い部分は「海」と呼ばれています。地球の海とは違って水はありません。かつて月に大きな隕石が衝突し、その際に流れ出た溶岩が衝突跡を埋めるように冷え固まりました。この溶岩(玄武岩)が太陽光を吸収するため、暗く見えるのです。

それでは月の明るい部分には何があるのでしょう。月の表面の明るく見えるところにはクレーターや山が存在し、「高地」と呼ばれています。高地を形成するのは斜長岩という光を反射する特性を持った鉱物。白く明るく見えるのはそのためです。このように月の海と高地が織りなす明暗のコントラストが、特徴的な模様を生み出しているのです。

日本では月の模様を餅をつくうさぎに見立てますが、ところ変われば見方も変わります。カニやロバ、あるいは女性の姿に見立てる国や地域もあります。月は地球に対して常に同じ面を見せています。地球上のどの場所から見ても同じ模様にもかかわらず、このように解釈が違ってくるのは興味深いことです。

パレイドリア効果とは?

人間の脳には無意味な模様や事物を、自分の知っているものに当てはめて解釈しようとする働きがある。これを精神医学で「パレイドリア効果」という。木の壁の模様が人の顔に見えるのも、月の模様が餅をつくうさぎに見えるのもこの働きによる。

例)コンセントの差し込み口が顔のパーツに見えてしまう。

例)空に浮かぶ雲が怪獣の姿に見えてしまう。

文化の違いが見え方の違いに

人々は月の模様をパレイドリア効果によって身近な何かに見立てる。では、月の模様は変わらないのに、地域によって解釈が異なるのはなぜか。それは生まれた場所や育った文化圏によって、感じ方やイメージするものが違うため。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』監修:渡部 潤一

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』
監修:渡部 潤一


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