カラスは最長60年生きる⁉ 知られざる長寿の秘密【眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話】

人生は10年、20年、最長60年⁉

カラスは何年くらい生きると思います？ 大きく見えますが体重は１キロ以下、モルモットより軽いくらいです。モルモットの寿命は飼育下でも６、７年くらいでしょうか。

野鳥の寿命を知るのは難しいのですが、こんな例があります。上野公園でハシブトガラスを調査した福田道雄さんがカラスのヒナに標識用の足環を付けたことがあるのですが、その足環を付けたカラスが19年４ヶ月後に見つかりました。このカラスは19歳だったということになります。

飼育下ではもっと長く、ハシボソガラスで37年とか40年という例がありますし、ハシブトガラスでもそれくらい飼われている例があります。ロンドン塔で飼われていたワタリガラスの１羽は60歳を超えた例があります。ということは、条件が良ければ、生理的にはそれくらい生きられる、ということです。

もちろん、野生状態でそんなに長生きできることは滅多にないでしょう。古典的な研究では、小鳥の平均寿命は最長寿命の半分程度とされているので飼育下での記録が40年なら、まあ野生ではがんばって20年かな？といったところでしょうか。とはいえ、カラスのように大型の鳥は若いときに死にやすく、大人になってしまうとそんなに死なない可能性があります。

そう考えると、平均寿命はけっこう長いかもしれません。10年やそこら生きているカラスは、普通にいるかもしれませんよ？

カラスの死因いろいろ

餓死
カラスといえどもエサ漁りは簡単ではありません。特に若く地位の低い個体は、エサ不足で死んでしまう例も少なくないでしょう

病死
鳥ポックスウィルスなど、病気にかかることがあります。有毒な果実や病原菌に汚染されたエサを食べて集団で死ぬ例もあります。

捕食
フクロウやタカに襲われることがあります。ヒナのうちは経験が浅く、ネコに狙われることもあります。

事故
衝突で骨折して飛べなくなったら終わりです。高速道路でエサを漁っていて車にひかれるのはカラスが一番多いですし。

人による捕殺
有害鳥獣駆除、箱罠による駆除、巣の撤去など、人間もカラスの外敵の一つです。東京都では巣の約半数が撤去されていた例もあります。

カラスＱ＆Ａ

カラスって食べられるの？

味は別として、各国に料理法があります。
日本ではロウソク焼きという料理があり、ショウガ、ネギ、味噌などを混ぜたつくねの一種です。フランスやベトナムにも一応、料理法はあります。肉は血の匂いが強いレバー風味で、あまりおいしいものではありません。塩麹などで下処理すれば、何とか。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話』著：松原 始