出現は地震の前触れ?「幻の魚」リュウグウノツカイにまつわる真実と迷信【眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話】

幻の深海魚の特異な生態

深海魚の中でも、ひときわ出会うことの難しいリュウグウノツカイ。“幻の魚”とも呼ばれていて、生きた姿で見られることはごくまれです。

世界最長の硬骨魚といわれるほど非常に長い魚体の持ち主で、最長10mほどの個体も発見されています。銀色に輝く魚体にトサカのように長く伸びた背ビレと腹ビレなど、その神々しい出で立ちは、まさにその名のごとく、海の底の美しい竜宮城へといざなってくれそうです。ドラゴンや人魚のモデルになったというのもうなずける美しさです。

また、リュウグウノツカイが浜に打ち上げられると地震の前兆だといういい伝えもあれば、一方海外では、リュウグウノツカイが流れ着くとニシンがたくさんとれたことから「ニシンの王」とも呼ばれています。

さまざまな逸話を持った謎多き魚ですが、特異な生態として知られるのが「自切」です。外敵に襲われそうになったときや、定置網にかかってしまったときなどに、まるでトカゲのように、尾を自分の意思で切り落とせるのです。

また、極度の空腹時にエネルギー消費を抑えるためにも、自切することがわかっています。一度自切をすると元通りにはならないため、尾がある状態で一生を終えられる個体は恵まれた環境にいたといえるでしょう。

リュウグウノツカイはこんな魚

<まるで龍のような姿>

全長3~8mにも及ぶ長い魚体に銀色の体、長いトサカに赤い背ビレを持つ。龍は実在しないが、そのモデルであるといわれている。

<尾を自切する>

外敵に襲われそうになったときや、極度の空腹時にエネルギー消費を抑えるために自ら尾を切り落とす。

古くから伝説が残る“幻の深海魚”

<出現すると地震の前兆?>

普段は深海に生息しているのでほとんど見られることはないが、地震の前に海面付近に現れたり、水揚げされたという報告が多数ある。科学的根拠はなく、迷信のひとつと考えられている。

<人魚伝説のモデル?>

古くから伝わる人魚伝説に書き残された特徴がリュウグウノツカイに似ていることから、リュウグウノツカイが人魚と思われていたという説がある。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』監修:さかなのおにいさん かわちゃん

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』
監修:さかなのおにいさん かわちゃん

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食べること、飼うこと、水族館などでの鑑賞など、日本人にとって身近な生物の“魚類”。

魚類は生き物にしては珍しく、大きさや形、色、生息地域もさまざまなので、個体ごとの身体的特徴も大きく変化します。
また、食用としての魚と観賞用としての魚、漁業などのビジネスとしての魚では注目するポイントが異なるため、色んな角度から見ることができる面白い生物です。

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