「民俗学=現代民俗学」? 日本が生み出した独創的な民俗学とは【眠れなくなるほど面白い 図解 民俗学の話】

「現代民俗学」の誕生 ② 日本が生み出した独創的な民俗学

よりよい生を構想するための学問

21世紀に入る前後以降に登場した民俗学の研究の多くは、社会の構造的変動の中で、人びとの生活世界がそれにどのように対応しているかを、生活世界において生み出され、生きられる具体的な経験・知識・表現の動態を分析することで明らかにしようとしています。

社会変動を、それを受けとめる人びとの生活世界の内面に即して理解するそれらの研究の多くは、さらに、人は社会変動の中でいかによりよい生を構想することができるかを考えるところまで議論を展開しうる可能性を持つものとなっています。

なお、現在においても、諸タイプの民俗学は、「現代民俗学」と並行して、あるいは相互乗り入れをしながら、それぞれに研究が進められています。

もっとも、「現代民俗学」を名乗らずとも、多くの民俗学研究は同時代的な問題意識を持ち、現代の民俗を扱うことから、民俗学=現代民俗学といってよいでしょう。また、現代民俗学は過去の民俗、歴史的な世界を視野から排除しているわけではなく、現代の民俗を解明するために、過去や歴史との照合をさかんに行っています。

島村恭則教授は、「現代民俗学」は、日本が生み出した独創的な民俗学のあり方であり、今後の民俗学の最大の可能性は、この方向を推進させていくことにあると述べています。

「民俗学=現代民俗学」のあり方

〈啓蒙主義的合理性や覇権・普遍・主流・中心とされる社会的位相〉とは異なる次元で展開する人間の生を、内在的に理解する
 ↓
〈啓蒙主義的合理性や覇権・普遍・主流・中心とされる社会的位相〉の側の基準によって形成された知識体系を相対化し、超克する知見を生み出す

この目的を持つ知的営為は、すべて「民俗学=現代民俗学」の名のもとに統合可能!

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 民俗学の話』監修:島村恭則

【監修者紹介】
島村恭則(しまむら・たかのり)
民俗学者。関西学院大学社会学部長・教授。1967(昭和42)年、東京都生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科単位取得退学。文学博士(筑波大学)。国立歴史民俗博物館教官、韓国・翰林大学校客員教授、東京大学客員教授などを歴任。日本各地で民俗学調査を行うとともに、韓国・中国での調査・研究も行う。
近年は、世界民俗学史をふまえた民俗学理論の研究、とくに民俗学を国際的・学際的な「ヴァナキュラー文化研究」として再編成する議論を展開している。
著書に『みんなの民俗学 ヴァナキュラーってなんだ?』(平凡社)、『民俗学を生きる ヴァナキュラー研究への道』(晃洋書房)、『これからの時代を生き抜くための民俗学入門』(辰巳出版)、『昔話の民俗学入門 民間伝承の秘密を読み解く』(創元社)、編著に『現代民俗学入門 身近な風習の秘密を解き明かす』(創元社)などがある。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 民俗学の話』
監修:島村恭則


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現代の社会を知る上でも重要な学問ともいわれる「民俗学」。
そもそも「民俗学」とは「民」(=人々)について「俗」(=ヴァナキュラー)の視点で研究する学問であり、日本においては、春夏秋冬の年中行事や風習から、身近な衣食住の伝統や習慣など、都市や地方のあらゆる「文化・もの」について、歴史や謂われ、理由などが存在する。
本書では、現代にも繋がる礼儀やしきたりや祭祀、文化や風習、民間伝承、芸能、文化遺産から、昔話、怪談、(都市)伝説、B級グルメ、ネットミーム、パワースポット、七不思議伝と言われるものまで幅広く取り上げ、「現代民俗学」としてあらゆるジャンルについてわかりやすく紹介、解説する。

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