仏教から学ぶ「本を読むだけでは救われない」ワケとは【眠れなくなるほど面白い 図解 歎異抄】

表面的なことだけではなく本質を知ることが重要

経釈をよみ学すといへども、聖教の本意をこころえざる条、もつとも不便のことなり。===第十二条

【訳】経典や祖師方(禅宗の達磨大師)の書かれた注釈書などを読んで学んだとしても、聖教、すなわち仏教の教えの根本的な意味を理解していないのでは、どうしようもありません。

「仏教の教えが書かれている本や、有名な僧が書き記した書を読まない人は浄土へ往生できない」という考え方を耳にした親鸞の弟子唯円が、「そんなことはない」と警鐘を鳴らした言葉です。

もともと念仏とは誰でも簡単に唱えることができるように考えられたものなのですから、難しい本を理解する必要はありません。肝心なのは書を読むことではなく、書に書かれている大事な部分を理解することです。それがなければ書を読む意味はないのです。

たとえば数学の問題を解くときに、解法だけを理解してはいけません。「なぜこの解法で解くことができるのか」ということを考えることが重要です。つまり学問とはただ知識を積み重ねるだけでなく、その奥にあるものを探求することが大切なのです。

日常生活においても同じようなことが言えます。表に見えている部分だけでなく、その中に潜む感情や考え方を大事にすることが大切なのです。

学ぶことは悪いことではありません。しかし無意味に知識だけを増やすのは無駄なことなのです。重要なのは、本当の意味(本質)を理解することです。

念仏は難しい学問や知識を必要としていませんから、誰でも気軽に唱えることができます。

学ぶことは悪いことではありませんが、無意味に知識だけを増やすのは無駄です。
重要なのは本質を理解することです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 歎異抄』監修:山口謠司

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 歎異抄』
監修:山口謠司


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「善人なおもって往生を遂ぐ。いわんや悪人をや」――親鸞の死後に弟子の唯円が師の言葉をまとめた「歎異抄」。
仏教書の中でも、現代に必要とされる「安心」と「他力本願」の奥義がわりやすく、生きる力や癒やしにつながると根強い人気があります。700年以上前に親鸞が説いた、この今を生き抜くための名言には、「生きることはどういうことなのか」「信じた道をつき進めるか」「悪人こそが救われる」などという内容の言葉が書き起こされていますが、それは逆説的な意味合いを込めた、「明日を生きる力がわいてくる珠玉の名言」なのです。
日常生活に大いに役立つ歎異抄の世界。語り継がれる親鸞聖人の言葉は、現代社会に大きな影響を与えているといってもいいでしょう。
本書は歎異抄の世界をひもとき、親鸞聖人の考え方をどのように応用すれば、厳しい現代社会を生き抜くことができるかを、図やイラストをふんだんに使い、わかりやすく解説した一冊です。

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