リモートワークが広がらないのはなぜなのか?【眠れなくなるほど面白い 図解 認知バイアス】


リモートワークが広がらないのはなぜ?
【システム正当化バイアス】
現状が正しいと思いがち
コロナ禍を経て、多くの企業で導入されたリモートワーク。緊急事態宣言中はある程度進んでいましたが、現在では、その数値は減少しています。なぜ日本にはリモートワークが根付かないのでしょうか。
そこには、「システム正当化バイアス」が働いていると考えられます。
システム正当化バイアスとは、現状のやり方が存在していること自体に価値を見出し、それを正当化しようとする働きのこと。つまり、人は新しい習慣やシステムをなかなか受け入れられないのです。
このような例は、会社の働き方や、時代遅れの校則など、多くの場で見られます。なぜそのようなバイアスが働くのでしょうか。
実は、人は現状で感じている不都合よりも、予測できない不安のほうを大きく感じます。「このままだといつまでたっても改善されないな」という不満より、「新しいやり方で、何か別の問題が起きたらどうしよう」という気持ちのほうが大きいのです。
システム正当化バイアスに囚われすぎると、システムや社会生活における進歩は望めません。そのようなバイアスがあるということを認識し、それを打ち破っていくことで、現状を変えていくことができるようになります。
これまでやってきたことが正しいと思ってしまう
システム正当化バイアス の例
【会社の仕組み・やり方】
- サービス残業
- 対面での仕事

【学校の規則】
- 理由のはっきりしない服装
- 行動の制約

始めたときには意味があったが、時代の変化とともにその意味が変化していく

システム正当化バイアスにより、
簡単には変えられなくなっている
変えていくことには怖さがともなう
多少の不都合はあっても同じことを続ける➡どうなっていくか想定できる・安心

これまでのやり方を変える➡どうなるか想定できない・不安


現状を維持して、安心したいという気持ちから、
システム正当化バイアスが生まれる
参考文献
- John Jost and Mahzarin Banaji, “The Role of Stereotyping in System-Justification and the Production of False Consciousness,” British Journal ofSocial Psychology, 33, 1-27, 1994.
- 沼崎城/石井伺雄 『日本の犯罪状況の悪化情報が現システムの正当性認知に及ぼす効果』 日本心理学会第73回大会発表論文集 116、2009年。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 認知バイアス』監修:高橋 昌一郎
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 認知バイアス』
監修:高橋 昌一郎
「認知バイアス」は物事の判断が、偏見や先入観、歪んだ情報・データ、個人的経験則・記憶、思い込みなどによって、非合理的になる心理現象。社会学(社会心理学)や経済学(経済行動学)、論理学、認知科学など幅広いジャンルで研究されている。
本書では、数ある「認知バイアス」から、「確証バイアス」「正常性バイアス」「同調性バイアス」「希少性バイアス」をはじめ「ハロー効果」「ダニング=クルーガー効果」「プロスペクト理論」「スリーパー効果」など、読者の関心や興味が強いと考えられるもの、身近で陥りやすい危険の高いもの、知っていると生活にも役立つものを中心に厳選して、図解でわかりやすく伝える。
フェイクニュースや詐欺的行為や犯罪が蔓延し、AI技術の向上などによって、「何が正しいか」わかりにくくなった現代の世の中で、賢く生きていくためには必須の知識!
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