なぜ高度計はズレるのか? 気圧によって変わる「高度」の正体とは【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】


気圧高度計は規正しなければならない
地上はいつも1気圧だとは限らない
気圧高度計は、地上の気圧が1気圧であることを前提にして、目盛が切ってあるため、地上が1気圧でないと気圧高度計としては正しい高度を指示することができません。
そのため、気圧高度計の原点を補正する必要があります。気圧高度計を補正する方法のことを、高度計規正(アルティメタセッティング)いい、Qコードを使用した、QNH、QNE、QNFの3つの方法があります。
QNHは、離着陸する空港の標高を表示するように気圧をセットする方法です。例えば、広島空港は標高1072フィート(327m)ありますが、QNHをセットすることで離陸する時の気圧高度計は、1072フィートを指示します。離陸後は、平均海面からの実際の高度となります。
離陸後、高度14000フィート以上になるとQNEにセットします。QNEは海面上の気圧を1気圧と仮定した方法で、日本では14000フィート(約4300m)以上、あるいは洋上(洋上では気圧を通報してくれる人がいないため)になると、1013.2ヘクトパスカル(㍱)(29.92in)をセットしています。
なおQNEにセットした状態で、例えば気圧高度計が15000フィートを指示している場合には、100フィート単位の数値のみで「フライトレベル150」と表現しています。
QNFは、日本では使用されていません。この方法は、離着陸する場合に滑走路上で気圧高度計がゼロを指示するように、滑走路面の気圧をセットする方法です。したがって離陸後は滑走路面からの高度を指示しており、実際の高度を指示するものではありません。
気圧高度計は規正しなければならない


【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治
「飛行機はなぜ、どうやって空を飛べるのか」という基本から、最新の知識、身近な航空雑学まで、飛行機の魅力をたっぷり図解でわかりやすく教える一冊。
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