“オートで目的地へ”を支える最新技術「レーザージャイロ」とは?【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】

飛行機の姿勢と方向を知る慣性航法(その2)

飛行機がはじめて真北を認識できるようになる

加速度を測る装置は、もちろんつり革ではありませんが、現在の加速度計でも、飛行機の姿勢が変わると加速度と勘違いする恐れがあります。

そこで、3つのジャイロで、水平かつ真北(地磁気ではなく地図上の北)を向くように制御されたプラットホームと呼ばれる、板の上に設置されるようになっています。

この装置により、姿勢や方向を知るためのジャイロであるDG、VGの代わりはもとより、飛行する前に空港の位置(緯度経度)を入力すれば、無線施設などの助けもなしに飛行している現在位置も逐次わかるようになります。

誰の助けもなしに、飛行機に装備した装置だけで行なう航法のことを自立航法と呼んでいます。またこの装置のおかげで、飛行機としては磁北ではなく真北をはじめて認識することができました。オートパイロットの項でも調べますが、自動的に誘導することも可能となり、パイロットのワークロードが大幅に軽減されたのです。

現在は機械的なジャイロではなく、レーザー光線を利用した、ジャイロと同じ性質を持つレーザージャイロと呼ばれる装置が主に使われています。機械的な回転部分が少ないため、故障も少なく小型軽量で、飛行機にはもってこいのジャイロです。このジャイロとコンピュータの組み合わせによって、仮想上の水平なプラットフォームをつくることもできたので、それらの装置は飛行機に直接設置できるようになっています。機械式ジャイロによるプラットフォーム方式に対して、このように飛行機のどこにでも直接設置できる方式のことをストラップダウン方式といいます。

慣性航法とは(その2)

レーザージャイロ

レーザージャイロ

慣性航法システム

慣性航法システム

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治

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