飛行機では推力を直接測れない!飛行機のパワーを測る“EPR”とは!?【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】

エンジン計器は、推力の大きさもわかる

飛行機のすべては、推力の大きさに関わる

エンジン計器には、もう1つ重要な役割があります。それは、推力の大きさを知ることです。自動車の場合、例えば、最高出力が110kW(6200rpm)であることを知らなくても、日常の運転には支障がありません。

しかし飛行機の場合は、 離陸に必要な距離、離陸できる飛行機の重さ、離陸する速度、どこまで上昇できるのかなど、そうしたすべてのことは推力の大きさに関わってきます。 そして実際に飛ぶ時には、予定通りの推力を出しているか、知る必要があります。

ところが残念なことに、飛行中に推力の大きさを直接測ることはできません。正しい推力がセットできる計器には、どのようなものがあるのか調べてみましょう。

まずは、実際の推力の大きさと直線的に比例する代表的な計器が、EPRです。

EPRは、エンジン入り口の圧力とエンジン出口の圧力比を計測したものを、数値に表したものです。したがって単位はありません。バイパス比が1ほどであった初期のターボファンエンジンの場合には、推力とEPRはほとんど直線的に比例していました。

しかし高バイパス比のエンジンになると、ファンが噴出する空気が全体の80%なので、エンジン圧力比は全体の20%の変化を見ているに過ぎません。直線的には比例しなくなっています。

そして、ファンの回転数のほうが高速回転になると、推力にほぼ直線的に比例しているため、わざわざEPR装置を設置せずに、既存のファン回転計を推力設定の計器にしているエンジンもあります。

推力の大きさを知るためにも必要

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治

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