飛行機エンジンの回転速度はなぜ%で表示されているのか?【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】


どうやってエンジンの回転を数えるのか
パーセンテージ(%)で見やすくしている
回転速度を表わす計器が、回転計です。一般的に回転速度を表す記号にNを使う習慣があり、2軸式ターボファンエンジンの場合には、ファンと低圧圧縮機の回転を、N1(エヌワン)、高圧圧縮機をN2(エヌツー)という記号で表しています。
そのためファンと低圧圧縮機の回転速度を指示する計器をN1計、 高圧圧縮機の回転速速度を指示する計器をN2計と呼んでいますが、 それぞれの単位は「%」です。
その理由は、N1とN2は回転速度が違うので、%にしたほうが見やすいからです。例えばCF6エンジンの場合、シリーズによっても違いますが、N1の回転速度が100%で約3400rpm、 N2の100% は約9800rpmです。回 転 計が84%を指示している場合には、N1は3400 × 0.84 = 2856rpm、そしてN2は8232rpmですが、84%のほうが視認しやすいことがわかります。
各回転計のセンサーは、電力のいらない自立型になっています。N1センサーは、電磁誘導を利用したもので、ファンが通過するたびに発生する起電力をパルス信号として数えています。余談ですが、円盤がくるくる回って見える家庭用電力量メーターは、この電磁誘導を利用しています。
そしてN2センサーは、電力がいらないどころか立派な交流発電機としての役割を持ち、周波数は回転速度としてN2計器に、電力はエンジンを制御するために利用しています。
な お、最大推力は100%では ありません。100%よりも大きくなる場合もあります。同じエンジンであっても、改良を兼ねていくうちに回転速度を速くできるようになったからです。
どうやってエンジンの回転を数えているのか

電池誘導という、ファンが永久磁石を通過するときに起電力が生ずる現象を利用したものです。ファンが通過するたびに生まれる電力のバルスを数えて回転数に変えています。

N2回転計は一種の発電機となっています。周波数は回転数として計器に、そして電力はエンジンを制御するシステムのために利用しています。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治
「飛行機はなぜ、どうやって空を飛べるのか」という基本から、最新の知識、身近な航空雑学まで、飛行機の魅力をたっぷり図解でわかりやすく教える一冊。
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