離陸時は“風の情報”が想像以上に大事!飛行機が飛ぶときは向かい風のほうが嬉しい?【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】


いよいよ離陸
とても重要な「風の情報」
離陸の準備がすべて整い、管制塔から離陸の許可や風の情報を受け取ったら、いよいよ大空に向けて出発です。風の情報は、空気を利用して空を飛ぶ飛行機の場合、特に離着陸時には風に非常に敏感なため、重要です。
巡航中は、対地速度が増して有利な追い風は、離陸中には逆に不利となります。とくに国際線のように、離陸重量が非常に重い場合には、そよ風程度の追い風でも離陸できないことがあります。そのため、できる限り向い風を受けて離陸する必要があります。
風の情報は、天気予報のように「北よりの風がやや強いでしょう」という程度では役に立ちません。「330度から5ノット(風速約9m)」というように、必ず風が吹いてくる方位と強さが必要です。例えば羽田の場合、そのような風が吹いている時には、北向きの「滑走路34」 が使用され、夏場のように南風が吹く場合は「滑走路34」の逆となる、南向きの「滑走路16」などが使用されます。 ちなみに羽田空港には東西南北、どこから風が吹いても対応できるように、合計4本の滑走路があります。
なお滑走路番号は、磁方位を基準にしてつけています。例えば羽田空港の北向きの滑走路は、磁方位が337度なので、まず10で割り、小数点以下を四捨五入して「34」としています。その逆は、180度を引いた「16」となります。
同じ磁方位の滑走路が2本並んでいる場合には、「 滑 走 路34R( ラ イ ト )」「 滑 走 路34L( レフト)」と呼んで区別しています。余談ですが、羽田空港の昔の滑走路の磁方位は、333度だったので、滑走路番号は「33」でした。
離陸速度とは

法律上の定義
・V1
加速停止距離の範囲内で航空機を停止させるため、離陸中に操縦士が最初の操作(例:ブレーキの使用、推力の減少、スピード・ブレーキの展開)をとる必要がある速度。また、VEF で臨界発動機が故障した後において、操縦士が離陸を継続し離陸距離の範囲内で離陸面上必要な高さを得ることができるような離陸中の最小速度
・VEF 臨界発動機の離陸中の故障を仮定する速度
・VR ローテーション速度
・V2 安全離陸速度
※臨界発動機とは、ある任意の飛行形態に関し、故障した場合に、飛行性に最も有害な影響を与えるような1個以上の発動機
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治
「飛行機はなぜ、どうやって空を飛べるのか」という基本から、最新の知識、身近な航空雑学まで、飛行機の魅力をたっぷり図解でわかりやすく教える一冊。
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