毒には「天然毒」と人間がつくった「人工毒」がある
毒の由来は2種類ある
毒はその由来とするかによって、天然毒と人工毒の2つに分類されます。天然毒は自然界に存在する毒のことです。具体的には植物、動物、微生物、鉱物に備わっている毒をさします。毒草や水銀などがその代表例です。
また天然毒については、生物由来かどうか、そのなかでもさらに分類されることもあります。英語にはその分類を示す単語があり、まず、天然毒や人工毒を区別せずに毒全般をさすpoison(ポイズン)、そのなかの生物由来の毒をさすtoxin(トキシン)、さらにそのなかにある、動物が持つ毒腺から分泌される毒をさすvenom(ベノム)という3つがあります。
一方、人工毒は人間がつくり出した毒のことをいいます。工業用の塗料や、植物を枯らす農薬、兵器として開発された毒ガスなどがそれにあたり、もともとは自然界に存在しなかったものです。特に、毒ガスのような化学兵器は戦争に利用され、多大な被害を出しました。現在では条約でその開発・研究が禁止されています。
このように、毒とひとくくりにいっても、さまざまなものがあります。由来が違う毒は、それぞれ使われる目的も違い、生物が身を守るため役立っているものもあれば、人間が生活や戦争のために生み出したものもあるのです。
「天然毒」と「人工毒」の違い
天然毒
もともと自然界に存在する毒のこと。なかでも植物由来か、動物由来か、微生物由来か、さらに鉱物由来かなどで分類される。
人口毒
人間がつくり出した、自然界に存在しなかった毒。工業の発展や戦争とともに生まれた。
天然毒・人工毒の例
天然毒
●植物毒
薬草、微生物、毒キノコ(キノコは微生物に入れることもある)、細菌など
●動物毒
ヘビ、フグなど
●鉱物毒
硫砒鉄鉱、水銀など
人口毒
●工業毒
四塩化炭素など
●毒ガス
サリン、塩素ガスなど
●農薬
除草剤、殺虫剤など
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』監修:船山 信次
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』
監修:船山 信次
日常生活のなかで、毒性のあるものを誤食したり、毒を持つ生物に触れたりして中毒症状が出たというケースは少なくありません。
スイセンやキノコの誤食など毎年のように発生しており、毒は非常に身近な存在です。
本書はまず毒とはなにかという毒の定義や作用などの基礎を化学や薬学の知識がない人にもわかりやすく解説。
例えば「地球上で最凶の毒は?」「青酸カリって舐めても大丈夫?」など、気になる毒の雑学とともに紹介します。
また、毒を持つハチ、カエル、クラゲなどの生き物やスイセン、アジサイ、トリカブト、カエンタケなどの植物やキノコ、アスベスト、ダイオキシン、火山ガスなど環境系の毒、
依存度が高いコカイン、危険ドラック、覚せい剤などの麻薬……etc.
人体に影響を及ぼすあらゆる毒を収録!
誰かに教えたくなる毒の最新知識や雑学が詰まった一冊です。
公開日:2025.03.02
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