糖質の摂り過ぎが腎臓を痛める?
自覚症状がなくても要注意!
糖質の摂り過ぎは肥満を招くだけにとどまらず、腎臓機能の低下も引き起こします。それが糖尿病の三大合併症の1つ、糖尿病性腎症です。
腎臓は体の中の水分量と塩分濃度などを調節して血圧を一定に保ち、同時に血液中の老廃物をろ過して尿をつくる働きをしています。糖尿病で腎臓機能が低下すると、老廃物や水分がうまく排出できなくなり、 体にむくみが生じたり、疲れやすくなったりします。また、貧血を起こしたり、体中にかゆみが生じたりする場合もあります。このような状態を腎不全といいます。
また、腎不全になる前の時点で、尿にアルブミンという物質が漏れてしまったり、自覚症状がないまでも老廃物のろ過能力が低下したりする状況が3か月以上持続することを「慢性腎臓病」といいます。慢性腎臓病を放置すれば、やがて腎不全となり、最終的には尿をつくる能力が失われ、人工透析が必須な状況になります。
それほど恐ろしい病気であるにもかかわらず、慢性腎臓病は初期段階では自覚症状がありません。手足のむくみや貧血、息切れなど、体に不調を感じたときにはすでに病状がかなり進行した状態です。新たな国民病ともいわれる慢性腎臓病ですが、そのはじまりは糖尿病であることが多いのです。上手に糖質制限することが、慢性腎臓病予防の第一歩になります。
腎臓のしくみと腎臓病
- 腎動脈
- 腎静脈
- 尿管
- 腎盂
- 腎杯
- 被膜
- 皮質
- 髄質(腎錐体)
- 乳頭
腎臓の構造と働き
腎臓内にある毛細血管のかたまり(糸球体)と、それにからみついたタコ足細胞がフィルターとなって血液をろ過して尿をつくる。
腎臓の血管が痛むとフィルター機能が働かなくなる
【心不全や不整脈】
水分・体液・電解質を調整できなくなり、心不全や細胞機能障害に。
【心筋梗塞や脳卒中】
血圧をコントロールできず、高血圧に。心筋梗塞や脳卒中も招く。
【腎臓での酸素不足】
造血ホルモンを分泌して赤血球を生成することができず、貧血に。
【尿毒症から死に至る】
尿の成分(尿毒素ともいう)が血液にたまり、尿毒症を引き起こし、放置すると死に至る。
【カルシウム吸収障害】
ビタミン Dを活性化する機能が低下。骨をつくる機能が衰え骨がもろくなる。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 炭水化物の話』/著:山田 悟
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 炭水化物の話』
著:山田 悟
近年、糖質制限が広まっていますが続けるのが難しいと感じる人も多いです。本書では、炭水化物をテーマに、糖尿病専門医がガマンせずに痩せる方法を図解で解説しています。カギは血糖値で、食後高血糖を防ぐ食事法を紹介。GI値の低い食品や外食時の対策、食べ過ぎた場合の対処法などを具体的に紹介しています。また、「白米よりチャーハンが太りにくい」「油をたくさん摂っても良い」「朝のフルーツはNG」などの新常識も解説し、楽しく続けられるメソッド満載の一冊です。
公開日:2024.07.16