認知症の『物盗られ妄想』と探し物への正しい対応|本人の不安を理解しBPSDを防ぐ接し方の原則【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】

認知症の人は1日中探し物をして誰かに怒ってしまう…負のモヤモヤが充満する世界とは

認知症状からくる不安や混乱で負のモヤモヤが充満する世界

○エピソード

認知症のある母は、1日中ごそごそ何かを探しています。探し疲れた頃、「あなたが盗んだんでしょう?」と大声で責められます。後に、別の場所に置き忘れていた物が出てきても、本人はどこ吹く風です。

【あるある行動】1日中物を探し、最後は家族を責める

認知症のある人は多かれ少なかれ、大切な物や人がどんどん目の前からなくなっていくという、不思議な体験をしているようです。さらに、自信喪失、他社に対する不信感、喪失感など、複雑な心境で暮らしている人もいます。

例えば、居間に置いた大切な物が見あたらなくても、認知症のある人は、「何をしたらよいか」「何を尋ねたらよいか」がわからず、解決できないモヤモヤが残ります。それが続けば、不安や焦燥感が増します。「また失くしたの?」などという他者の言葉により「軽い怒り」に変化したり、「ここに置いたはず。誰かが盗った」という被害者意識が生まれ、自分を守る言動をとることがあります。

はじめは認知症の世界の不思議な体験だっただけなのに、徐々に負の気持ちに変化し、「本人の気持ち」と「周りの環境(人の対応を含む)」との間に生じた”ズレ”で負の気持ちが変化し、怒りや被害妄想などの行動に現れます。

この状態は、周囲の人たちの言葉かけや、環境の改善を含め接し方を変えた方がよい、変えなければならないというサインです。これに早めに気づき、対応を変えれば、本人も周囲も困るBPSD(心理・行動障害)に発展しにくいのです。

認知症のある方への言葉かけや接し方の原則は、「本人の行動の目的や言葉を否定しない」ことです。第2章で、具体的な方法を見ていきましょう。

認知症状からくる不安や混乱で負のモヤモヤが充満する世界/もしあなたがこの世界にいたら?【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】

○もしあなたがこの世界にいたら?

簡単なミスをしたとき、「こんなはずはない」と受け止められないときはありませんか?さらに「あなたのせいでしょ」と言われたら、不安や不信感が強まらないでしょうか?

【出典】『認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方』著:山川淳司 椎名淳一 加藤史子

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【書誌情報】
『認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方』
著:山川淳司 椎名淳一 加藤史子

認知症は、理解しにくい言動を引き起こす脳の病気です。家族が「どう言葉をかけたらいいんだろう」「どう接したらいいのかな」「とてもつらい」と感じることが多いでしょう。「認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方」では、介護現場の専門家が日々の接し方や対応のヒントを提供し、プロの視点と方法で、家庭での介護が少しでもラクになるように、ご本人とともにかけがえのない日々を過ごしてほしいという願いが込められています。「認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方」を活用して、実践してほしいと思います。今後のためにも読んでおきたいおすすめの一冊です。

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