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『同じ年にやめれば一緒にイベントできる』梵英心さんトークショー

Text:遠藤玲奈

永川勝浩さんは「体も存在も大きかった」

赤地に白の6が並ぶ光景に、10か月前を思い出しました。梵英心さんに『ラブすぽ』トークショーにご登壇いただくのは二度目です。ファンの熱さは変わりませんが、梵英心さんご本人には大きな変化がありました。
前回は社会人野球の選手のひとりでしたが、10月に引退を表明されたのです。プレーしていたのはエイジェックの野球部。今はエイジェックに会社員としてお勤めです。今回のようなイベントへの出演機会が増え、もっとうまく話せるようになりたい、いろいろなことを勉強する時期だとおっしゃっていました。

代打での出場が増え、自分はまだやれるのに、との葛藤もありながら、若手に譲ろう、選手兼任コーチの立場だが、他の選手たちに寄り添う時間を増やしていこう、と考えるようになったのが引退へと気持ちが傾いていった経緯だそうです。さらに実は意外な理由もありました。「ユニフォームが似合わなくなってきた」と感じたのだそうです。私たちの目には体型など何も変わっていないように見えるのですが、ご自身だからこそわかる感覚なのでしょう。

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栃木でどのような生活をなさっていたかについても聞かせてくださいました。慣れ親しんだ広島を離れ、単身赴任。当然、家事もご自身でこなし、夕方にスーパーで割引になった食材を買って自炊することもあったそうですが、カープの選手だったのに、というような思いにとらわれることはありませんでした。
選手たちのために何かできることはないかと必死で考えているうちに過ぎていく毎日でした。

駒沢大学卒業後、梵英心さんは日産自動車の野球部でプレーしていました。広島東洋カープを退団後、エイジェック野球部への入団を決めたのは、社会人野球に何か恩返しができればとの思いからでした。選手たちの練習している姿に甘さが感じられ、かなり厳しい言葉をかけたこともあったそうです。自分と同じ失敗を若い選手たちにしてほしくないとの思いやりからでした。
相手の成長を願って叱ることには、相当な精神力を要します。それくらいの覚悟で栃木に行ったから、と梵英心さんはきっぱり口にしました。自分も動きながら指導することで貢献できればと考えていたそうですが、まっとうできた一年半だったことが伝わりました。

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ファンからの質問に答える形で、カープ時代の思い出もお話しいただきました。
当時の梵英心さんを語る上で外せないのが、東出輝裕さんです。高卒で入団した東出輝裕さんがチームでは7年先輩になりますが、同い年のお二人は、当時のマーティ・ブラウン監督に、寝る時以外は一緒にいるようにと命じられます。
アメリカでセカンドとショートの2人を指して使われるキーストーン・コンビという言葉に梵英心さんはいくらか気恥ずかしさを覚えていたようですが、周囲の期待にご本人たちが努力で応え、鮮やかな連係でファンを沸かせる守備の要石となりました。

梵英心さんにとって「体も存在も大きかった」チームメイトが永川勝浩さんです。カープファンにとっては、お二人が幼なじみであることはよく知られた事実でしょう。
永川勝浩さんが今シーズンで引退することを知って、それならば、と考えたところも、梵英心さんには少しだけあったそうです。同じ年にやめたら地元の三次市でも一緒にイベントをやれる、一年ずれたらまた改めてやらないといけないし、と冗談混じりに笑ってお話されていましたが、頻繁に連絡を取り合うわけではないというお二人の深い絆を感じました。
前述のように、梵英心さんは今は野球の現場を離れています。ですが、ハイレベルな技術と、それを伝えていきたいという意欲……次はいつ、どこのユニフォーム姿を見せていただけるのかと期待せずにいられません。

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『ラブすぽ』ライター:遠藤玲奈
池田高校のやまびこ打線全盛期に徳島に生まれる。慶應義塾大学法学部卒業、東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。選手としての経験はないが、独自の方法で野球の奥深さを追究する。特に気になるポジションは捕手。フルマラソンの自己ベストは3時間31分。