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動きケア®による予防と改善! 新発想の身体部分分けと基本運動⑦股関節【スポーツ障害予防の教科書】

Text:土屋真人

身体の部分分けと基本運動⑦股関節

股関節が安定する「しこ」のポジションのために

股関節の基本運動には、「屈曲と伸展」「外転と内転」「外旋と内旋」という6つがあります。太ももが前にでる動きが屈曲で、後ろに引く動きが伸展です。また脚を開く動きが外転、閉じる動きが内転になります。そして脚を内方にねじる動きが内旋、外方にねじる動きが外旋です。

骨盤部と股関節の動きは結果的に同じになることもあるのですが、骨盤部を固定して大腿骨を動かす運動が股関節の基本運動になります。股関節は骨盤の臼蓋というお椀のようなくぼみに、大腿骨骨頭というボールのような形のものがはまった構造になっています。この臼蓋(おわん)に大腿骨骨頭(ボール)が深くはまり込んで安定するポジションがあります。それが、いわゆる「しこ」のポジションになります。このポジションでは大腿骨骨頭が深くはまり込んで安定するので、下肢の力も上半身によく伝わり腕で押す力も強くなるのです。力士が「しこ」のポジションでつっぱる理由がここにあります。他のスポーツでも使うことが多い「しこ」のポジションは重要です。このポジションを股関節の基本運動であらわすと屈曲―外転―外旋になります。「しこ」のポジションをとるための準備として、屈曲、外転、外旋が十分にできることが必要になります。

少しやってみてもらいたいのですが、手で膝を持って胸に引きつける動きは、まっすぐに胸に引きつけるよりも膝を開いて引きつける方が膝の位置が高くあがります。股関節を開いた方が股関節屈曲の可動域が大きくなるということです。このように股関節が十分に屈曲できるためにはまずは、股関節が十分に開ける(外転、外旋)が必要です。立位の膝の曲げ伸ばしで、つま先よりも内方に膝が曲がる場合、股関節でいうと内旋しています。この動きが習慣になってしまうと外転や外旋、屈曲が十分にできなくなってしまうので注意が必要です。すでに、足裏内側、脛、膝の内側、股関節などに痛みや不調がある場合は、股関節の外転、外旋、屈曲などの基本運動が十分にできなくなっているかもしれません。チェックしてみてください。

6つの股関節の基本運動【スポーツ障害予防の教科書】

6つの股関節の基本運動【スポーツ障害予防の教科書】

6つの股関節の基本運動

①屈曲⇔②伸展
③外転⇔④内転
⑤外旋⇔⑥内旋

出典:『スポーツ障害予防の教科書 姿勢と動きのコンディショニング』

【書誌情報】
『スポーツ障害予防の教科書 姿勢と動きのコンディショニング』
土屋真人

スポーツと姿勢は重要な関係にあり、姿勢が歪んでしまうと筋肉・柔軟性・可動域・バランスなどに影響を及ぼします。姿勢はちょっとしたことでも狂ってしまいますが、その修正方法を多くの選手は知りません。本書は姿勢を改善することでパフォーマンスをアップさせるとともに、ケガの予防にも役立つために、なぜ不調や痛みが生じるのか、どこの姿勢が狂っているのが原因なのかをわかりやすく解説し、その改善方法やトレーニングについてイラストと写真でビジュアル的に紹介します。人によって不調が生じる部分は様々です。首、肩。胸郭部、背中、腰、股関節、足、などの各部位ごとに必要な柔軟性をチェックし、不調の整え方、効果的なトレーニング、改善方法を、トレーナーを指導する体育協会理事長の著者が徹底解説する初めての一冊になります。

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