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「呼んで頂けるのであればその場(代表)に行きたい」東京五輪代表漏れの柳田将洋が語るバレー男子日本代表への思い

大宅真樹主将&柳田将洋対談

柳田将洋「呼んでいただけるのであればその場(代表)に行きたいのはもちろんあります。そのために常に準備したい」大宅真樹「五輪メンバーからは外されたので、その時点で次の五輪に向けて切り替えた。代表で得られたものをチームに活かしたい」

サントリーサンバーズの大宅真樹キャプテンと柳田将洋選手に対談をしていただきました。
前編では14年ぶりの優勝を振り返っていただき、後編では代表で得られたもの、連覇に向けての抱負を伺っています。


――そのあと、優勝して代表に招集されたと思うんですが、それぞれ違いはあるにしても、代表で得られたことをまず大宅選手からお聞きしたいです。

大宅:当然、全選手が質の高いプレーを求めて練習からやっている中で、1日1日を何かチャレンジする姿、特にセッターの2人(藤井直伸選手と関田誠大選手)を僕は見てきて、今のスキルでもいいはずなのに、もっともっと上を見ている姿や練習の取り組みだったりを間近で見れたのが今シーズン初めてだった。僕もまだまだ足りないと思ったし、ネイションズリーグに連れて行ってもらって、チャンスは少なかったにしろ試合に出る機会もあった。

選考に関しては監督やスタッフからも(セッターの)3番手の立ち位置に今いると言われていて、そこで(五輪の)メンバーに食い込むために何かインパクトを残さないといけない。自分のアピールポイントというのをなかなか自分の中でハッキリと持てていなかったというのを改めて感じました。「自分を知る」というのは、アピールするにしてもこれからのバレー人生にしても、そこが一番スタートラインになります。僕の中でまず自分のことをしっかりと見つめ直す。そうしないといけないのかなとすごく感じたので、そこを今、チームでオフをもらってるんですが、その時間もそういったことに使いながら、今は気持ちの整理だとかリフレッシュに当てています。またシーズン通してそこを更に成長させていきたいなと思いました。


――個人的にはロシア戦は大宅選手がすごく活躍されて、アピールできたんじゃないかなと思ったのですが、本人としてはまだ自分がアピールするところをもっと知らなければという思いでしょうか。

大宅:そうですね、あの試合に関してはシニア代表で初めての公式戦だったので、もちろんアドレナリンはすごく出ていたし、自然と体の動きもよかったので、よくビギナーズラックとかありますけど、それに近い感じもあったと思います。そこから先の試合が自分の本当の姿だと思っていて、挑戦はしたんですけども、なかなか上手くいかないことも多かったです。でもロシア戦に関しては、初めてとしては自分に100点をあげられるかなというくらいはできたかなと思います。

――ちなみにシニアA代表が初めてだったんですか。

大宅:A代表は昨シーズンは試合がなかったので紅白戦だけで、1年目のとき、たぶんマサさんと初めて会った薩摩川内の合宿で、ABに分かれたときで僕はアジア大会の方に行ったんですけど、ケガで直前で離脱するという形になったので、(今年の)ロシア戦が初めての公式戦でした。


――柳田選手に。代表で目標としてきた東京五輪で、コンディション不良ということで持っているものを発揮する前に決まってしまったところもあると思うんですけど、その辺りの心情と今それからどう上手く切り替えられたかについてお聞かせください。

柳田: まず選考に関しては、単純に自分の力不足がすべてだなと思います。準備不足だったりとか、アピールするタイミングだったり、自分ではかれたところをはかりきれなかったりとかで、そこは本当に受け取めました。ただ、直後は本当に「無」でした。何もすることができませんでした。

でも、五輪を戦う12人選ばれて、彼らが日本のトップの12人であることは間違いないと思うので、それに対しても僕は何もない。

僕自身の今までの感覚では本当に自分にベクトルを向け続けているので、特に外の環境とかではなくて、本当に自分が何ができるのかということに対して挑戦をし続けてきたところがある。ですから自分が望んでいない結果になったとしても、自分自身の問題というか、「じゃあ何をすればここからよくなっていけるか」というところにすぐに目を向けられたかな。少し時間はかかったんですけど。

それで次の質問に移るんですけど、例えばサンバーズとの契約を更新させてもらったりとか、いろんな人たちのコメントだったりとか、そういった連絡をもらったりとか、常に自分が挑戦していることに対していろんな人からのサポートがあるということを、改めていろんな人からの声かけだったりとかで気づけた。選考に残れなかったのは非常に悔しくはあるんですけど、それが少し紛れるくらい改めて幸せなことなんだなと気づかせてもらいました。ですからそれは自分が次に新しく踏み出す原動力になっていると思いますし、あとはプロとして目的が必ず達成できるかというのが是ではないというのはわかっているので、次の目標を立てるしかないと思う。少し理論的すぎるかもしれないんですけど、どうせ次に動き出すなら早い方がいいと思っているので、次のシーズンに向けて更に活躍する準備を今しているところです。シンプルにそれだけという感じです。

――報道で、なかなか次の目標に目を向けるのが難しい状況だということをおっしゃられててすごく心配だったんですけども、今の時点ではサンバーズの次のシーズンなどに目を向けられるようになったということですね。

柳田: そうですね、そうです。

――お二人に。もちろん代表だけがバレー選手のすべてではないと思うんですけど、またパリ五輪とか、世界選手権とかありますけども、そういったものを目指すという気持ちはありますか。

大宅:僕自身は東京のあとのパリ五輪を目指して、去年くらいにそれを頭においてやっていたんですね。でもその前の年に代表に選んでいただいて、五輪メンバーからは外されたので、その時点で次のオリンピックに向けてという思いはありました。今年こういう経験をいろいろさせてもらったので、その経験をまた次に生かすことも頭にあります。でも今サンバーズに戻って、チームにまた自分をマッチさせていかないといけない。もちろんその先に代表があるんですが、チームでまず結果を残すことというのを第一に考えてやっていこうと思います。

柳田:そうですね、呼んでいただけるのであればその場に行きたい、その場でプレーしたいなというのはもちろんあります。

――具体的にこの大会というよりはいつでもという感じですか。

柳田:はい。いつチャンスが来るのかとかは僕が想定できることじゃないですし、それに向けての準備は常にしたいなとは思っています。


――次にサンバーズの連覇についてお伺いしたいんですけども、連覇ってけっこう難しくて、パナソニックがちょっと前に連覇しましたけど、その前の連覇というのがサントリーサンバーズのジルソン・ベルナルドさんがバリバリのアタッカーだった頃まで遡らないとないんですよ。なので、新しい目標である連覇に向けてどうやっていきたいかというところを教えてください。

大宅: 昨シーズンの(連覇がかかっていた)ジェイテクトさんとか見ても、苦しいシーズンになっていたと僕は感じていましたし、追われる立場というのは相当キツイものがあるのかなと今でも感じています。チームはシーズンに向けてスタートしています。スローガンも去年から継続して「PLAY HARD」に決定したんですけども、それを去年はまだ「意識的に最後までボールを追おう」とかになっちゃっていたと思う。今シーズンはそれが当たり前にできるチームに。スローガンが「PLAY HARD」だからというだけじゃなくて、いちプロとして当たり前にやっていかないと、その先というのは見えてこないと思うので。


優勝したのも初めてだし、この先の2連覇というのもまだ想像できていないですけど、そこに対してのモチベーションを去年以上にやっていかないといけない。そうしないと連覇を達成することは難しいと思う。優勝したところから今季の僕らのサンバーズのチームというのはスタートしたと思っているので、また大袈裟ですけど、ジルソン選手がいたときの5連覇を超えれるようなチームを作っていきたいという思いはあります。口で言うのは簡単ですけど、実現できるように。僕もキャプテンなので、そこは自分からチームに発信していけるようにやっていきたいなと思っています。

――柳田選手にはその前に、もう1シーズンサントリーでプレーすることに決めた理由についてもお話しいただけますか。

柳田: そうですね、優勝したのにチーム抜けないと思うんですけど(笑)。とりあえずいい結果を残したので、評価も上げてもらって、それで契約していくというのはある意味理想の展開だと選手としては思うというところが第一。あとはやっぱり連覇という、おっしゃったように難しいチャレンジができる。そこに対して僕もサンバーズで引き続きやっていきたいなという思いがあるのもひとつの要因ではある。ですからそれもしっかり達成できるように。更に評価を上げられるようにという気持ちです。

――また海外に行きたいという思いはありませんでしたか。

柳田:なくはないです。別に海外国内というよりは、自分がどこでやることがベストか、たぶんどこかの取材でも言ったと思うんですけど、それをシンプルに考えているだけなんで、海外でやりたいとか外で自分にとっていいチームが見つかったらそれも全然あると思いますし、サンバーズでプレーしたいってこれからも思い続けるのであればまたサンバーズに所属し続けることもありえます。考え方だと思うんですけど、僕はあまり中か外かというのではなくて、どこでやりたいかという。小さな違いなんですけど、そういう考え方で基本的にはチームを選んでますね。

――では、連覇に向けてどのようにやっていきたいかを教えていただけますか。


柳田:やっぱり先ほどもおっしゃったように、追われる立場で、たぶん自分たちをどう倒していくかという対策が去年以上に練られてくると思うので、自分たちもそれを超えるくらいのパフォーマンスをしなければいけないというのはもちろんわかっています。そこをしっかりと準備の段階、今もそうですけど、例えばプレシーズンとか、練習試合とかそういうところで完成度高めていけるかというのも、すごく重要になってくると思います。あとは昨シーズン塩田達也選手が抜けられたというところで、今年からどういう選手が入ってくるかによって、チームのバランスとかも関わってくると思います。

すでに告知されていますが、中国代表のミドルブロッカーが加入するということで、また別のバレーボールが展開される可能性もチームの作り方によってはあり得ると思っています。そういうところを上手く化学反応させていくというか、単純に足し算をしていくんじゃなくて、掛け算にもできるような、そんなチームにしていければ、昨年以上にいいチームにできると思います。でもその中でコミュニケーションだったり、決まり事だったりシステムだったりルールだったりいろんなことを作っていかないと、メンバーだけよくてもボールが落ちちゃうといった展開とかは全然あると思うので、それだけはしっかりこの夏場、プレシーズンのときを通じてやっていければと思っています。


――ちなみにお二人は、一緒にごはんに行ったりとかはするんですか。

柳田:します。
大宅:しますね。普通にしますよ。
柳田:どんなお店に行くのかは内緒です(笑)。

――そういうときにお話しすることってどんなことですか。

柳田:どんなこと…
大宅:改まって聞かれると困りますね(笑)

――バレーボール絡みが多い?

柳田:もちろんバレーのことも話しますけど、こういうのってたいてい出てこないでしょ、あんまり(笑)。何を話しているかって考えて話しているわけではないので、あんまり出てこないですよね。たわいもない話をしてるんじゃないかなと思います。


――では大宅選手に。昨シーズン中に柳田選手から言われたことで何か覚えていることはありますか。

大宅:キャプテンになってすぐだったんですけど、そのときに「大宅がやりたいようにやっていいよ」と言われたのが、それで気が楽になった。「お前のチームだから」と言われて、それで僕が間違ってたら助言してくれるし、「俺らはお前がやりたいことを精いっぱいサポートする」みたいなことを言われた。それはキャプテンをやり始めて本当に最初の方に言われた言葉で、常に頭に置いときながらやれたのかなと僕は思います。

――最後に最近よくきいている曲とかあったら教えてください。

大宅:僕はBTSさんの「Butter」という曲を聞いています。

柳田:めちゃめちゃ普通じゃん(笑)

大宅:(笑)

柳田:とはいえ、僕は最近そもそも音楽を聞いてないんですよね。ラジオとかなんで。

――ラジオなんですね。

柳田:車の中ではラジオを聞いているんです。

――いつだったか藤井風さんの「帰ろう」のことをつぶやいてませんでしたか。

柳田:あれはホームゲームで流れていたので。基本的には音楽を聴くタイミングが今はないですね。リーグ中でもないので移動がないですし、特に最近聞いている曲と言われても。それこそ、BTSとかじゃないけど、体育館に流れている曲ぐらいしか聞いてないです。

――ありがとうございました。連覇に向けて頑張ってください。

柳田:はーい!

大宅:ありがとうございました。

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