あのプロ野球選手の高校時代
●坂本勇人 (光星学院)
巨人軍の主将として、人気・実力ともに日本プロ野球界屈指の選手となった坂本勇人。兵庫県伊丹市出身の坂本だが、高校は青森にある光星学院(現八戸学院光星)でプレーしている。中学時代から実力は折り紙付き。ただ、地元の高校に行けなかった理由は「ヤンチャが過ぎたから」だという。
高校時代の恩師で現在は明秀日立(茨城)の監督を務める金沢成奉監督は坂本をはじめて見たときのことをこう語っている。「知人から『見てほしい選手がいる』と言われたのでシニアの練習に足を運んだのですが、見た瞬間に『こりゃ、プロに行けるな』と思いました。当時からパッと見た感じはけだるそうにプレーする子でしたけど、背が大きいのにプレーがやわらかい。それでいて、力強さがある。ゴムのようにしなって、〝バチンッ〞と力を発揮できるイメージでした」
光星学院に入学が決まった坂本だが、入学後も金沢監督の手を焼かすことになる。「在学中は私のことを本当に嫌いだったと思いますよ(笑)。毎日のように職員室に呼び出しては生活態度について指導しましたから。その都度『お前はプロに行ける。でもそのためには野球以外の部分もしっかりしないとダメなんだ』と言って聞かせた。ただ、本人は私がやる気を出させるためにそう言っているんだと思っていたようで、仲間には『また監督がワケわからん事言ってる』と話していたようです」
自らの能力を最も過小評価していたのは、他ならぬ坂本自身だった。2年冬には帰省後の初練習で、今も語り草になっている「鼻ピアス騒動」も起こした。それでも、最上級生になってからは徐々に能力を発揮し、3年春にはセンバツに出場。春の大会で打棒が爆発し、プロからの評価も徐々に高まっていった。
同年秋のドラフトでは巨人から外れ1位で指名を受けた。「あの年の高校生野手では堂上(直倫/愛工大名電、現中日)君がナンバーワン評価で、坂本は指名されても2位以下かなと思っていました。それが、外れとはいえ1位指名。大学・社会人と高校生の分離ドラフトだったとはいえ、驚きました」
こう語る金沢監督だが、坂本はプロ2年目にはレギュラーに定着。その後、2000本安打をマークする大選手に成長することになる。
出典:『がっつり!甲子園2022』
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公開日:2022.08.16