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犯罪者は本当に本人に原因があると考えていいのか?【社会心理学】

Text:亀田達也

内的帰属と外的帰属

人は事件のニュースなどを見かけると、犯人の行動原因を推測しようとします。この推測の過程を「帰属過程」と言い、原因を推測することを「原因帰属」と言います。原因帰属には「内的帰属」と「外的帰属」があり、それぞれ考えの方向性が異なります。

内的帰属は「犯人は暴力的な人」など、本人(加害者)の性格といった内的なものが原因で行動したと推測することです。対して外的帰属は「相手が何かしたのでは?」と他者(被害者)に行動の原因があると推測することです。また、人は他者の行動の原因を考える際、外的な原因を軽視し、内的な原因を重視する傾向があります。そのため「被害者よりも犯人に原因がある」という考えに至りやすく、このような思考の偏りを「基本的な帰属のエラー」と言うのです。

人は本当に内的な原因を重視するのか、ジョーンズとハリスは、それを検証するためにエッセイ実験を行いました。学生をふたつのグループにわけ、試験でキューバのカストロ政権を支持するか否かのエッセイを書いてもらいます。グループAには政権を支持するかどうかを書き手の意思にまかせ、グループBには事前に書く内容を指示しました。その後、実験参加者に学生が書いたエッセイを読んでもらい、書き手の本心を推測してもらいます。

その際、半数の人には書き手が自分の意思で内容を選んだと伝え、もう半数の人には書き手に支持するか否かをこちらで指定したと伝えました。その結果、支持する内容を書いた人は、書き手の意思に関係なくカストロ政権支持派と思われる割合が多く、基本的な帰属のエラーが起こったのです。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学』 監修:亀田達也

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以上の方には「図解 社会心理学」は大変おすすめな本です。

多数派の意見に同調してしまうのはどうして?

日本人はよく多数派に同調しやすい、そんなイメージがあるかもしれません。しかし、この傾向はどんな人にも当て余る普遍性を持ったものなのです。なぜ私たちは多数派の意見に同調しやすいのでしょうか?この同調について、有名な実験があります。

この実験はカード①に描かれた線と同じ長さのものを、カード②に描かれた3本の線の中から選ぶというもので、実験には8人の学生が参加しました。回答はひとりずつ順番に行いますが、実は参加者のうち7人は〝サクラ〞で、あらかじめどの線を答えるかを指定されていました。

明らかに間違った答えでも多数派に同調してしまう

この実験の目的は、多数が間違った回答をした場合、被験者はそれに同調するかを調べることで、被験者は7人のサクラの回答を聞いたあと、8番目に回答します。実験は線の長さを変えながら複数回行われましたが、問題自体はいずれもひとりで回答したときは正解率99%というごく簡単なものでした

ところが、7人全員が誤った回答をした条件下だと、被験者による誤答率は32%にも上りました。普通なら間違えようのない問題でも、全員が別の回答を選ぶと、それに大きく影響されてしまうことが明らかとなったわけです。なお、7人のサクラのうち、必ず正解を答える他者がひとりいた場合、被験者の誤答率は5・5%まで低下しました。

会社の会議などでも全員一致の意見に反対するのは勇気がいりますが、ひとりでも反対者がいれば意見を表明しやすくなります。同調を促うながすには全員一致であることが重要で、ひとりでも自分と同じ意見の人がいると、その圧力は大きく弱まるというわけです。

あなたの好奇心をくすぐる面白い知識が満載です

只今紹介した「同調」だけでなく、本書では社会心理学の様々な知識を紹介しています。その数実に56個です!5つのパートに分けて紹介をしているため、気になるパートから読むことが可能です。

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「図解 社会心理学」と銘打っているだけあって、図解がふんだんに使われています。

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【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学』
監修:亀田達也

「社会心理学」は、心理学の中でも重要かつ人気のジャンル。個人同士の協力、競争、攻撃、援助など「他者との関係」、そして集団、組織など個人を取り巻く「社会との関係」をテーマとする「社会心理学」を、わかりやすく、かつ堅苦しくならないように図解・イラストを用いて紹介する。「社会現象と心理学」、「職場における心理学」「社会の在り方と心理学」など、現代日本において興味深く読めるような身近なテーマを立てて、さらにこれまで行われた心理実験と結果など、「心理学」全般の内容を誌面に取り入れて解説する。会社、学校、家庭、友人ーー集団や社会の中の個や対人関係の本質、行動原理を社会心理学から読み解く1冊!

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