3:デジタル通貨の時代に新札発行の謎
近年、「お金(通貨)」の概念が大きく変容しています。キャッシュレス時代が到来したからです。
従来のクレジットカード(後払い型)に加え、ETCカード(無線でノータッチ型)電子マネー(チャージ型や銀行即時引落し型やチャージによる前払いプリペイド型)が頻繁に使われています。
現金チャージ型のSuicaなどの交通系ICカード、スーパーやコンビニなどで使うとポイントもたまるnanacoなどの流通系ICカード、トカード連動型カード、PayPayなどのスマホアプリやクレジットカード連携も可能なQRコード決済系など種類も非常に豊富になっています。
これらは、基本的に民間による決済サービスで、買い物時、財布からのお金の出し入れが不要です。
そのうえ世界では、政府の中央銀行が電子通貨を導入する動きまであり、お金そのものを扱う機会が少なくなっており、やがてお金は、すべてがデジタル流通する近未来が予測されるのです。
たとえば、中国では偽札の横行に閉口していたため、こうした電子マネーが街の屋台の代金決済にまで一気に普及しました。
また、犯罪収益のマネーロンダリング(洗浄)に悪用されるとして、世界中の国々で高額紙幣も消える運命にあるようです(ユーロ圏では500ユーロ廃止)の1万円札も消える運命にあるかもしれません。
しかし、そんな時代なのに、日本では2024年7月に新紙幣が発行されます。千円、五千円、一万円の3種類です。偽札防止のためと言いますが、旧札と新札の交換時に、旧札のレートの価値を下げ、政府は莫大な債務を減らすべく、金融資産課税を実施するのでは?という懸念もあります。
電子マネー↔お金(通貨)
電子マネーがお金に代わって使われるようになる
→キャッシュレス時代
【2024年に発行される新紙幣の顔】
1万円 渋沢栄一
5千円札 津田梅子
1千円札 北里柴三郎
【経済とお金の豆知識】
敗戦直後の1946年2月、占領下の日本は物価抑制の新円切替名目で「預金封鎖」を実施。財産調査も併行し所有財産10万円以上の国民に25~90%の苛烈な財産税を課し富裕層を没落させました。
【出典】『眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話』著:神樹兵輔
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話』
著:神樹兵輔
経済社会は「価値の尺度」と「交換」に基づき、私たちの日常生活に大きな影響を与えています。歴史的に見れば、江戸時代の日本では貨幣経済が発展し、物々交換から現金取引への移行が進み、一方でアメリカは金融政策や税制改革を通じて市場の豊かさを維持しました。近年では目的に基づいた合理的な行動が新たな価値を生み出す一方で、非合理的な選択も経済に影響を及ぼしています。「眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話」では、こうした経済社会のカラクリを解き明かし、市場の豊かさや人々の価値観がどのように形成され、どのように経済活動に影響を与えるのかを探り、この知識を通じて読者が豊かで充実した生活を送る方法を見つける手助けを目指します。
公開日:2024.08.03
