【ケーススタディー】偏食や負けるとすぐに怒ってしまう子に対してのアプローチ方法【発達が気になる子の感覚統合遊び】

理論5:チームで子どもを支える(ケーススタディーと保護者支援)①

○理論解説のポイント!

  • 感覚過敏は長い目で見ることが大切
  • 社会の発達を支える配慮と環境の支援が重要
  • 保護者支援とチームづくりが求められる

【アイデア提案】ケーススタディー:偏食について

 私が保育園時代に担当した自閉症の女児は、園の給食をまったく口にしませんでした。味覚、触覚の過敏があったり、こだわりが強かったりが原因として考えられました。

 安心することが何より大切と考え、無理せず家庭から持参してもらった白飯を食べていました。1年くらいたったある日、突然給食を食べはじめました。本当にびっくりしましたが、彼女の中では「この安心できる場で、安心できる人たちが、自分が口にしないものをおいしいといって食べている。きっとここにあるものは安心なのだ」という気持ちになったのではないかと考えました。

 すべての子がこんなふうにうまくいくとは思いませんが、偏食が強かった子が大きくなったら意外と何でも食べるということはよくあります。私たちが食を広げることに「こだわらない」ことも大切なのだと思います。「おいしい」と食べているところを見てもらい、子どもに安心してもらうことを意識してみましょう。

【アイデア提案】ケーススタディー:興味を活かす

 アルファベットが大好きで、英語に関心が強い男の子。この子も食べられるものがかなり限られていたのですが、好きな英語で食べ物を表記してみました。たとえば「miso soup」というように付せんに書いて、それぞれの器の前にはりました。

 すると、それを読みあげながら食べはじめたのです。もうびっくりです。もちろんすべてのものを食べたわけではありませんが、このことで確実に食べられるものの種類は増えていきました。子どもの興味・関心を活かすと、こんなことも起こり得るのです。

【アイデア提案】ケーススタディー:負けると怒ってしまう子【発達が気になる子の感覚統合遊び】

【アイデア提案】ケーススタディー:負けると怒ってしまう子

 勝ち負けのあるゲームで負けて怒ってしまう子の場合、「怒ってもいいよ」と伝えます。「怒らない」と伝えると、反対にイライラが高じます。大切なのは、その怒りの気持ちを早くもとに戻す支援です。怒りと付き合うスキルを学ばせるということにフォーカスしましょう。

 気持ちを早くもとに戻す支援の方法として、たとえば「安心ボックス」という箱にその子の好きなものやおもちゃを入れておき、怒ってしまったらその箱の中のアイテムを使って気持ちを切り替えることをすすめてみます。これは、ネガティブな気持ちを楽しいもので上書きするというイメージです。

 この情動の調整力を整えていくことが、「自分の傾向を知り対策を立てる」ということにつながります。ネガティブな感情と付き合う手立てとなるでしょう。

ミニコラム

アンガーマネジメントの視点で、安心できる感覚を取り入れる

 アンガーマネジメントとは、怒りの感情と付き合う方法を考えて使うことです。アンガーマネジメントでは「怒らない」状態を目指さず、怒りが湧いてくる場面を予測してもらい、その状態になったらその怒りを調整する手立てを使います。そして、もとの穏やかな感情に戻していくことを練習します。怒りを調整する際に使うのがリラクゼーションアイテムです。アロマ(嗅覚)、マッサージ(固有感覚)、音楽を聴く(聴覚)、飴をなめる(味覚)、ペットをなでる(触覚)など、心地よい感覚を堪能できるものが大活躍します。

 どんなものがリラクゼーションアイテムとして活用できそうか、子どもと相談し、積極的に取り入れてみましょう。私の経験では、アロマの匂いを嗅ぐのが好きな子が多い印象でした。柑橘系の活力が出る香りが好きな子どもが多かったのですが、これも子どもと相談して選択するとよいでしょう。

【出典】『発達が気になる子の感覚統合遊び』著:藤原里美

【書誌情報】
『発達が気になる子の感覚統合遊び』
著:藤原里美


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子どもの困った行動には意味があり、感覚統合の視点から理解すると、これらは感覚情報の処理がうまくいかない結果であることがわかります。
感覚統合は「発達凸凹」の子どもたちの支援に重要で、「遊び」を通じて子どもの能力を引き出す方法が強調されています。
「発達が気になる子の感覚統合遊び」では、理論編と実践的な遊び編で構成されており、100以上の遊びを紹介しています。

遊びを通じて子どもの情動を安定させ、成長を促すことを目的としており、子どもの理解と支援を促し、幸せな未来を共に築くために読んでおきたいおすすめの一冊です。

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