「伺ってございます」って感じがいい?
紹介者が間にいて、人を訪ねることがあります。約束の時間に先方を訪ね来意を告げるとします。
「Aさんにご紹介いただいた〇〇ですが・・・・・・」
先方の応対はこんなものでした。
「ってございます。お待ちしておりました」
さて、どんな印象を受けるでしょう。さすがに洗練された丁寧な言葉づかいだと感心しますか?それとも、どこか不自然さを感じるでしょうか。その印象を分ける原因は「伺ってございます」にありそうです。
もちろん、意味は「(Aさんから)聞いています」ということですが、「聞いている」の丁寧語は「伺っている」ですから、「伺っております」で十分な気もします。一方、「いる」を「ございます」としていると考えれば、極上の丁寧な言い方にも見えます。
こうした表現は、かなり格式ばった場では結構使われています。格式高いレストランで、「予約をしている〇〇ですが・・・・・・」に「承ってございます。••様、お席にご案内させていただきます」と応対された人は少なくないかもしれません。
また、高級ブランドショップなどでも「もうワンサイズ大きいものはありますか?」と尋ねると「揃ってございます」なんてこたえが返ってくる場合も珍しくありません。
その表現を心地よく感じるなら、なにも目くじらを立てる必要はありません。心地よさは敬語にとって大切な要素だからです。ただし、少し理屈をいえば、「ございます」は「ある」の丁寧な言い方で「いる」のそれではありません。
「揃えてある」を「揃えてございます」と言いかえるのは自然ですが、「揃っている」を「揃ってございます」と言いかえるのは、ちょっと不自然さを感じさせるのではないでしょうか。
「伺ってございます」「承ってございます」も、
「伺っております」「承っております」
というほうが敬語としては自然な感じがしませんか?
接客時に使う正しい敬語を、いま一度確認しておきましょう。
接客時に間違えやすい敬語
丁寧に話しているつもりでもおかしな敬語に気をつけたい。
【出典】『頭がいい人の敬語の使い方』著:本郷陽二
【書籍情報】
『頭がいい人の敬語の使い方』
著:本郷陽二
敬語は社会人にとって必須のスキルであり、適切に使いこなすことで人間関係を円滑にし、ビジネスの成功にもつながります。40万部超ベストセラーのビジュアル新版である本書『頭がいい人の敬語の使い方』は、日常生活からビジネスシーンまであらゆる場面で役立つ敬語の使い方をイラスト図解でわかりやすく解説しています。また、「間違いやすい敬語」や「すぐに使える敬語表現」といったトピックもカバーしており、他者と良好な関係を築くためのヒントが満載です。あらゆる場面で使える敬語力を身につけ、ワンランク上の“デキる大人”を目指しましょう。
公開日:2024.08.14