Bリーグスターガイド⑦ 安藤誓哉
今シーズン、開幕9年目を迎えたBリーグ。今夏行われたパリ五輪での日本代表の奮闘ぶりも記憶に新しく、現在では強豪チームの試合でチケット争奪戦が行われるなど、絶大な人気を誇っている。そこで『ラブすぽ』では「今年からBリーグを見よう!」と考えている読者のために、「この選手は押さえておこう」という、Bリーグのスター選手を厳選してご紹介する!
安藤誓哉
島根スサノオマジック
背番号:3
2024年現在、日本にはNBA挑戦中の河村勇輝選手(グリズリーズ)やパリ五輪日本代表キャプテンの富樫勇樹選手といった世界レベルのポイントガードが多く存在します。身長や強靭なフィジカルがより求められるフォワード、センターといったポジションは、どうしても外国籍選手に有利な部分がありますが、クイックネスや広い視野、アウトサイドシュートといった「テクニック」に重きが置かれる(もちろん、現代バスケにはポイントガードにも高いフィジカルやパワーは求められます)ポイントガードというポジションは、日本人でも「トップ」を目指せるポジションのひとつと言えるかもしれません。
Bリーグにも、その存在感やスタッツでコートを支配するポイントガードが何人もいますが、その代表格のひとりが島根スサノオマジックの安藤誓哉選手です。東京都出身の安藤選手は明成高校時代にウインターカップ優勝、インターハイ準優勝という結果を残し、2010年には世代別日本代表としてアジアU-18選手権に出場。チームは8位に終わりましたが平均23.4得点というスタッツを残し、大会得点王とベストファイブに選出されました。
明治大学に進学後も2年時にインカレ3位、3年時に同準優勝。アマチュア時代にこれだけの実績を残せば、卒業後は国内トップリーグのチームに入団するコースが既定路線でしたが、安藤選手は4年時にバスケ部を退部し、さらなる高みを目指して海外に挑戦します。
海外では日本人で初めてカナダNBLでプレー。さらにフィリピンのチームでもプレーした後、2015‐16シーズン途中にNBL(当時)のリンク栃木ブレックス(現宇都宮ブレックス)に移籍します。Bリーグ開幕シーズンとなった翌2016‐17シーズンは秋田ノーザンハピネッツでプレーし、シーズン60試合すべてにスターターとして出場。1試合平均10.4得点、3.0アシストをマーク。一気にリーグを代表するポイントガードに成長すると、翌シーズンは名門アルバルク東京へ。A東京でもコンスタントに平均2ケタ得点をマークする攻撃的ポイントガードとしてリーグ2連覇に貢献するなどの活躍を見せますが、そのプレーにさらなる凄みが加わったのが2021‐22シーズン、島根に移籍してからです。
移籍初年度に平均15.7得点とキャリアハイをマークすると、翌シーズンは同16.1得点、移籍3年目の昨シーズンは同20.4得点と、ついに大台を突破。このスタッツは昨シーズンのB1で3位、日本人では河村選手に次ぐ2位の数字でした。得点王にも輝いたチームメイトのペリン・ビュフォード選手との最強コンビはリーグ屈指の破壊力で、ここ3シーズン、島根の躍進を司令塔として、得点源として支えてきました。
安藤選手の最大の特徴は、やはりその爆発力。ポイントガードとしてしっかりとフロントコートまでボールを運ぶスキルはもちろん、そこからオフェンスを組み立てる、自らドリブルで切れ込む、外角からシュートを狙う……どれをセレクトしても高確率で得点への道筋を示す能力は、リーグでも屈指。特に島根移籍後は自ら積極的にシュートを放つ姿勢が見て取れます。
安藤選手の加入を機に、島根も一躍リーグ屈指の強豪チームに成長。2019‐20シーズンのB1昇格以降、地区6位、5位と下位に低迷していた島根ですが、安藤選手が加入した2021‐22シーズンはいきなり地区2位。翌シーズンも2位と西地区においては絶対王者・琉球ゴールデンキングスに次ぐ存在となっています。
しかし、昨シーズンはまさかの地区4位に沈み、チャンピオンシップも逃す結果に。今シーズンは過去3シーズン、コンビを組んだビュフォード選手が退団し、安藤選手にかかる負担はさらに増す可能性があります。それでも、開幕4戦を終えた時点で全試合スターター出場&2ケタ得点をマーク。変わらぬ爆発力で島根をけん引しています。
近年は日本代表からはやや遠ざかっていますが、富樫、河村という日本を代表するポイントガードと比較しても決して引けを取らない能力を持つ安藤選手。ぜひ、Bリーグの試合会場で、そのプレーを目に焼き付けてみてください。
文・花田雪
公開日:2024.10.23